「発送電分離」改革は「所有分離」見送りで早くも骨抜きに! 歴史的な電力行政の失敗にもかかわらず何も変わらない経済産業省の愚

 やはり長年の電力会社との癒着体質は経ち難いのだろうか---。

 東日本大震災で欠陥が露呈した電力制度の見直し問題で、はしゃいでいるのは、枝野幸男経済産業大臣ぐらい。経済産業省の官僚たちは原子力発電所の運転再開論議で見せるような“やる気”を見せなかった。

 それどころか、震災から1年4ヵ月が経った今月13日、経済産業省の総合資源エネルギー調査会は、電力改革の青写真となる「電力システム改革の基本方針」を大筋決定したものの、その内容は骨抜きと実効性への疑問が目立つ内容にとどまった。

 本来なら電力の大改革のスタートにもかかわらず、電力会社の発電部門と送配電部門を切り離す「発送電分離」問題で、最大の効果が期待できる「所有分離」をあっさりと先送りした。加えて、過去4回の見直しで放置されてきた「家庭」を含む「小売りの全面自由化」は一応盛り込まれたものの、逃げ道が多く、実効性に大きな疑問符が付いた格好だ。

電力は壮大な装置産業

「なお、中立性を実現する最もわかりやすい形態として所有分離があり得るが、これについては将来的検討課題とする」

 「発送電分離」に関するこの一文が、今回の報告書「電力システム改革の基本方針」の性格を最も端的に表しているのではないだろうか。報告書がホームぺージに掲載されたのも、総合資源エネルギー調査会の電力システム改革専門委員会の開催から5日も遅れてのこと。本稿執筆段階(7月21日)まで、議事録も公開されていない。

 「発送電分離」の見直しは、「地域独占」や「(電気料金決定の)総括原価方式」と並んで、早くから電力改革の要のひとつとされてきた。

 理由は簡単。電力市場の競争を促すには、託送と送電のネットワークを独占する東京電力、関西電力などの電力10社が、自社の発電部門を優遇し、新規参入組の発電事業者や小売業者を差別的に扱う事態を防ぐ必要があるからだ。

 ちなみに、「発送電分離」には4つの方式がある。

①部門ごとのコスト開示や内部補助の禁止を目的として、電力会社に発電・送電などの部門ごとの財務諸表を作成、公表させる「会計分離」
②送配電網の系統運用の中立性・公平性を確保するため、発電・送電部門間の情報交換を遮断させる「機能分離」(運用分離とも言う)
③持ち株会社など通じて、資本関係を保ったまま、送電系統運用部門と発電部門を分社化する「法的分離」
④送電部門全体を資本関係を含めて完全に別会社化する「所有分離」

 これらの中で最も効果の高い究極の姿が「所有分離」なのだ。

 「所有分離」にもいくつかのケースが考えられるが、実効性をあげるには、発電、送電、託送の3部門を分離したうえで、それぞれを複数以上に分割することが本格的な競争の導入には効果的とみられる。電力は壮大な装置産業で、これまで国策として様々な優遇策が講じられており、新たにゼロから設備投資をして新規参入するのは容易でないからだ。

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