いまや「日本の教育を選ばない」という選択肢を考えるべき時代。自滅への道を進む日本の大学の問題点

2012年07月23日(月) 田村 耕太郎

 これまで二回にわたり、エリート教育そしてボトムアップ教育の双方について、日本の大学の問題点に焦点を当ててきた。最終回となる今回は、未来を感じさせる話としたい。日本中の全大学を見てきた大学研究家、山内大地さんに「期待を感じさせる大学」について聞いてみた。

---山内さんから見て、「これは、いい教育してるな」と思わせる大学はどこですか?

大学研究家の山内太地氏

 うーん、いろんな意味でいくつかありますが、まずは産業能率大学ですね。経営学部は偏差値50台。しかし、教育内容がおもしろいのです。講義の半分くらいがプロジェクトベースなのです。

「自由が丘でショップを経営してみよう」、「芸術家をどうやって売り出すか?」とか、面白く実践的なグループワークのプロジェクトを多くやっています。そして学生が「経営っておもしろいな」と思った後に、ちゃんと座学として経営学を教えています。理論と実践をバランスよく教えているのです。

---なぜ産能大はそんなことができるのでしょうか?

 実務家が多いからです。教授の60%が企業出身者だからなんです。ビジネス界出身で顧客ニーズをわかっている教員たちが多いので、中堅校の学生に向いた教育もわかっているんです。結果として、就職率も悪くありません。

全課程英語プログラムの功罪

---グローバル教育に対応している事例はどうですか? 話題の秋田国際大学とかは?

 秋田国際教養大はトップエリート教育ですね。受験の難易度で言えば、東北大、いや東大並みといってもいいですね。

 そこまでいかなくても、おススメは宮崎国際大学です。偏差値50以下ですが、授業は全部英語でやっていておもしろいです。ただ、なぜか定員割れ。理由は宮崎にあるからではないでしょうか。

 多摩大学のグローバルスタディズ学部もおもしろいですね。今、元三井物産の寺島実朗さんが学長をやっていらっしゃいます。ここも偏差値50以下。しかし、全部英語で授業をやっています。特にいいのは、英語ができない学生たちのために、ちゃんと補習があるところです。




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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。