川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」

民主化に動きはじめたミャンマーと、イギリスに翻弄され続けたアウンサンスーチー氏の人生

2012年07月20日(金) 川口マーン惠美
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ヒラリー・クリントン氏とアウンサンスーチー氏〔PHOTO〕gettyimages

 ミャンマー(ビルマ)のアウンサンスーチーが、最近しきりにドイツのニュースに登場する。4月1日に補欠選挙で国会議員に当選し、20数年ぶりに政治家として蘇ったからだ。

 去年の暮れから、欧米各国の大物のミャンマー参りが続く。アメリカのヒラリー・クリントン国務長官、バンキムン国連総長、EUのアシュトン外相、もちろんドイツや日本からも続々。彼らはもちろんテイン・セイン大統領とも会談しているのだが、ハイライトとして報道されるのは、アウンサンスーチー氏との会談ばかりだ。

 それにしても、ヒラリー・クリントンとアウンサンスーチー両氏の邂逅の映像には、ビックリ仰天してしまった。ぴったりと寄り添い、肩を抱いて見つめ合い、手を握って、囁くように語りながら、しっとりと歩いていく様子は、生き別れになっていた不遇の姉妹がようやく巡り会えたような、静かながらも感極まった不思議な雰囲気だ。そこには2人の女闘志の姿はまったくない。

 いったい何がどうなっているのか、さっぱりわからない。アメリカが、やおらミャンマーへの経済制裁をかなぐり捨てようとしているのは、何もアウンサンスーチー氏への愛情からではないだろう。クリントン長官、ちょっと演技し過ぎではないか? 

急速に変わりつつあるミャンマー

 欧米諸国は、これ以上交易を渋っていると、ミャンマーの資源の利権を完璧に失いそうで、皆、焦っている。ミャンマーの地下には、石油、天然ガス、タングステン、アヘン、金、銀、銅、ダイアモンド、ルビーと、素晴らしいものがたくさん埋まっている。天然ガスの埋蔵量は世界10位と言われているし、ルビーは世界生産の90%を占める。

 ちなみに、ミャンマーの北部はアヘンの原料となるケシの一大栽培地で、アフガニスタンに次ぐ巨大な麻薬密造地域。黒いビジネスに携わっている人間にとっても、まさに垂涎の的なのだ。7月11日、オバマ政権はようやく経済制裁の一部を解除。利権争奪戦の幕は切って落とされた。

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