いまは日本が「除染・廃炉先進国」となるチャンス! 「ゼネコンか地元業者か」で争っている場合ではない!

 福島県で、除染利権を独占するゼネコンへの批判が高まっている。

『朝日新聞』は、7月15日、福島県下に、今年度、投じられる5,000億円以上の除染予算をめぐる、ゼネコンと地元業者の対立、間に立つ自治体の混乱を報じた。

 除染作業の発注形態は、統一されていない。汚染度の高い地区(半径20キロ圏内の警戒区域や計画的避難区域)は環境省が直轄で行い、その他は地方自治体に委ねられる。費用は国が持つのだが、各自治体は、公募提案型随意契約、指名企画競争、一般競争入札とバラバラな対応をしている。

 役所の処理能力、地域ごとの特性など、対応の違いには、それぞれ理由があるのだが、確実にいえるのは、ゼネコンに圧倒的な強みがあること。除染技術だけでなく、計画的な作業の進行、膨大な作業員の確保と管理ノウハウなどの点で、結果的にゼネコンが受注する。

世界の廃炉ビジネスをリードするチャンス

 朝日の記事は、福島市内7区域で行われた一般競争入札で、6区域で大手ゼネコン3社が落札、地元業者が受注できたのは1ヵ所だけで、「今はまだ緊急時。除染も地元業者との随意契約で」という「福島市除染支援事業組合員」の声を紹介している。

 地元業者の思いはわかるが、新しい除染技術の採用と確立、作業員の確保と配置、役所の発注作業と管理業務の省力化、といった面から、今後もゼネコン主体の官製談合で除染作業は進行することになる。

 必要なのは、実質的な官製談合であっても、そこに競争原理が確保されることと、除染作業を通じて除染技術の獲得に務め、将来的には廃炉技術と兼ね合わせ、日本企業が、「除染・廃炉先進国」になることだろう。

 福島原発事故は、世界中で誰も経験したことのない未曾有の大事故だ。アメ状となった核燃料廃棄物を、上部が吹き飛んだ原子炉建屋から取り出し、除染しながら原子炉を解体、廃炉にするのに40年以上、かかるといわれている。

 福島第一の6基に加え、第二の4基の廃炉費用に、最終的には居住地で1ミリシーベルト以下を目指す、という政府の宣言通りの作業を行えば、50兆円を上回るという試算もある。

 それだけの大公共工事が行われるのに、入札ひとつとっても、統一性なく、バラバラに行われたのでは意味がない。むしろ、日本が今後、「除染・廃炉先進国」として、世界の廃炉ビジネスをリードするチャンスと見なすべきだろう。

 「再稼働」が、大飯原発以降、どこまで進むかは不明だが、今後、少なくとも原子力発電所の新設は見込めない。

 普通に考えれば、電力会社、原子炉メーカー、ゼネコン、電力関連協力会社群などから形成される「原子力ムラ」は存亡の危機なのだが、彼らが悲壮感に溢れているかといえばそんなことはない。ビジネスとして捉えれば、「廃炉と除染」は、今まで以上のビジネスチャンスをもたらからだ。

 福島原発の10基だけではない。残りの40基の原発が廃炉になれば、その費用だけでも莫大だが、それに加えて、各原発プールには使用済み核燃料が満杯で、中間貯蔵施設の建設は不可避。やがては最終処分場の建設も迫られるわけで、こうした廃炉と核廃棄物の処理だけでも数十兆円が必要だ。

 国内だけではない。中国など世界の成長国は原発を欲している。東芝、日立製作所といった原子炉メーカーは、一基、数千億円のビジネスチャンスを求めて営業を継続しているが、同時に建設ラッシュは、将来的な事故対応需要、廃炉需要となって次代の仕事に結びつく。

 福島原発事故は、日本のエネルギー政策に転換をもたらし、「原子力ムラ」に打撃を与えたが、今後は、それを奇貨として、莫大に投下される公共工事を利用し、日本の産業分野に定着させなくてはならない。

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