オリンパス事件の反省はどこへ? 法務省の及び腰で「社外取締役義務付け」が腰砕け寸前
予想以上の反発に頭を悩ます法務省

 法務省の法制審議会・会社法制部会での日本企業のコーポレートガバナンス(企業統治)強化にかかわる議論が大詰めを迎えている。昨年起きたオリンパスの巨額損失隠し事件や、大王製紙元会長による巨額資金の私的借り入れ事件もあり、会社法による規律強化策が注目されてきた。

 昨年末には「会社法制の見直しに関する中間試案」を公表。「社外取締役の義務付け」などを打ち出したが、経済界の反発で「腰砕け」状態になりつつある。世の関心の移り変わりが激しいこともあり、早くもオリンパス事件も風化しつつある。このままでは、世界を騒がせたスキャンダルから何の教訓も学ばずに幕引きとなりかねない。

日本経団連などが真っ向から反対

 現在の会社法制部会は民主党政権に変わった後の2010年2月に当時の千葉景子・法務大臣の諮問によってスタートした。以来、回を重ね、この7月18日で23回目を数える。当初の諮問にはこうあった。

 「会社法制について、会社が社会的、経済的に重要な役割を果たしていることに照らして会社を取り巻く幅広い利害関係者からの一層の信頼を確保する観点から、企業統治の在り方や親子会社に関する規律等を見直す必要があると思われるので、その要綱を示されたい」とあった。現在、部会はその要綱案を取りまとめる段階に入っている。

 会社法改正の民主党政権の本当の狙いがどこにあったのかは不明だ。だが、「幅広い利害関係者」から信頼を得られる「企業統治」「規律」の見直しを求めたのは時宜にかなったものだった。民主党の支持母体である労働組合の代表が委員として、労働組合参加型の企業統治制度なども提案したが、これは早い段階で消えている。

 議論の末に、昨年末の中間試案で出てきた改革の1つの柱が「社外取締役1人の義務付け」だった。オリンパスや大王製紙の事件が起きた直後だっただけに、世の中の関心を呼んだのは言うまでもない。会社の経営すなわち取締役会に「外部の目」である社外取締役を入れるというのは、間違いなく企業統治の強化になり、法務相諮問にも合致する。

 ところが法務省の事務方が予想した以上に、反対論が巻き起こった。もちろん、規律強化を求める「幅広い利害関係者」からではない。企業の経営者自身からだ。日本経団連などが真っ向から反対したのである。その抵抗ぶりは以前に当コラムでも書いた。そのしぶとい抵抗がどうやら功を奏しつつあるのだ。

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