猪子寿之×安藤美冬 【第1回】
ランドセルで高校に通った伝説を持つ「異色の天才」猪子寿之はどうやってつくられたのか

安藤 美冬

安藤: 長い時間をかけて少ない難問を解く、っていう試験の方が向いていたんですね。

猪子: いや、易しい方がいいんですけど(笑)。でも、たしかに、東大みたいな試験の方が合ってたんでしょうね。もういいじゃないですか、18の頃の話なんて。

安藤: いやいや、そこを是非伺いたいですね。私は猪子さんのライフ・ストーリーに興味があるんです。先の質問に戻りますけれど、どんなご両親に育てられたんですか?

猪子: だから、普通の・・・、ホントに、普通の両親。普通。別に何も言わないし、あんまり興味なかったですね、ぼくに。みんな自分に夢中な家族だったんで。

「逆玉」を狙って東大に

編集: 東大に入るときは学者になろうと思ったんですか?

猪子: いやいや・・・。また~、ちょっと~、いろいろ知ってて、わざと振ってるんでしょう? なんかとぼけた顔して悪い大人だよね、ホント(笑)。東大に入ったのは、いろいろ考えて、いいなと思ったんですよ。

 もともと、戦前はわからないけど、戦後はずーっと、政治でもなく官僚でもなく、もちろん大学でもなく、民間(企業)の力で日本は豊かになってきたような気がしたので、(卒業後の進路は)民間がいいな、と思ってたんです。

 で、高校生のとき、ビジネス誌か何かを見たら、日本企業の「時価総額TOP20」みたいなのが載ってたんですけど、それがもう、おぞましくて・・・。

安藤: おぞましい?

猪子: たしか、当時はまだね、TOYOTAも任天堂もまだそこまで高くなってなかったんですよ。詳しくは覚えてないけど、ほとんどが旧国営か、旧財閥か、規制産業か、えっと・・・

編集: 規制産業というのは銀行とか?

猪子: 銀行もそうだし、保険とかもそうですね。あと、マスメディアもですよ! 放送局もそう。いわゆる免許制のある産業です。

 そうそう、だから、旧国営、旧財閥、規制産業、あとは国が一番のお客さんになってる会社ね。わかりやすいのはゼネコンかな。国が発注した公共事業をメインにやってるようなところね。とにかく、そんな会社しかTOP20に入ってなくて、「すげー!! 何なんだ、このおぞましい国は!?」って思ったわけ。