中国
共産党最高幹部たちが権謀数術の限りを尽くして「現代の皇帝様」を決める「北戴河会議」

 中国の過去・現在の最高幹部たちが一堂に集って鳩首会議を行う「北戴河会議」の時節が近づいてきた---。

 中国は憲法の前文で、「中国人民は中国共産党の指導のもとで社会主義国家を建設する」と謳っている。すなわち党員数8260万人(昨年末時点)の中国共産党のトップである(中央委員会)総書記が、13億3972万人(昨年4月発表)の国民を支配する「現代の皇帝様」なのである。

 そして、いまの胡錦濤総書記に代わる総書記の選挙を行う第18回共産党大会が、まもなく開かれることになっている。この選挙は、11月6日に行われるアメリカ大統領選と並び、2012年世界の政界の「2大ビッグイベント」と言える。

 ところが不思議なことにこの選挙、選挙を行う丸5年も前から、「当選者」が確定しているのである。現在、中国共産党序列6位の習近平副主席が、当確者だ。もう一つ不思議なことは、選挙日が、「今年下半期」ということしか確定していないのである。

 このため、中国の政権交代において世界が注視するのは、「誰が総書記選挙に当選するか」ではない。「(総書記を含めた)中央委員会常務委員(トップ9)に誰が当選するか」ということと、「選挙がいつ開催されるのか」という2点なのである。普通の民主主義国家からすれば、かなり奇異に映るだろうが、これが世界最大の人口大国、そして世界第2位の経済大国である中国の現状である。

 だいぶ前置きが長くなってしまったが、その第18回中国共産党大会の"選挙結果"を確定させるのが、7月後半から8月前半にかけて1週間ほど行われる「北戴河会議」なのである。

10年に一度の「政権交代」の年

 つい先日、北戴河会議の場所を「下見」に行ってきたという人物が解説する。

「1949年の解放前、イギリス人たちが、河北省の沿海部の町・北戴河に、避暑地の別荘群を築いていました。それを解放後に接収し、毛沢東主席の趣味が水泳だったため、毎年夏に最高幹部が勢揃いして、『北戴河会議』を開くようになったのです。

 『北戴河会議』の特色は、現在の9人の常務委員を含む24人の中央政治局委員に加えて、すでに政界を引退したはずの常務委員経験者たち(長老グループ)も参加するということです。『北戴河会議』の会議場の周囲は、鬱蒼とした緑に囲まれ、そこに長老グループも含めて、一人に一ヵ所ずつ与えられた平屋の別荘がポツリ、ポツリと点在しています。その中で、過去・現在の常務委員とその家族、秘書たちが、権謀術数の限りを尽くして、『人事』を決めていくのです。 

5年前の北戴河会議では、『ポスト胡錦濤』を巡って、侃々諤々の論争になり、最後は江沢民前総書記が習近平・上海市党委書記(当時)をゴリ押しし、胡錦濤総書記が推す李克強・遼寧省党委書記を蹴散らしました。今年は10年に一度の『政権交代』の年なので、紛糾は必至ですが、すでに"素案"はできています」

 この人物が語る"素案"によれば、まず第18回中国共産党大会の会期は、10月18日から24日までの7日間だという。また、中国共産党中央委員会中央政治局常務委員(トップ9)の序列は、以下のように代わるという。

<現在>
1. 胡錦濤 総書記、国家主席、中央軍事委員会主席
2. 呉邦国 全国人民代表大会常務委員長(国会議長)
3. 温家宝 国務院総理
4. 贾慶林 中国人民政治協商会議主席
5. 李春長 精神文明建設指導委員会主任(文化担当)
6. 習近平 副主席、中央軍事委員会副主席
7. 李克強 筆頭副首相
8. 賀国強 紀律検査委員会書記(紀律担当)
9. 周永康 政法委員会書記、社会治安総合治理委員会主任(公安担当)

<10月以降(年齢は今年10月時点)>
1. 習近平(59歳) 総書記、国家主席(2013年3月就任)、中央軍事委員会主席(就任時期未定)
2. 王岐山(64歳) 全国人民代表大会常務委員長(2013年3月就任)
3. 李克強(57歳) 国務院総理(2013年3月就任)
4. 劉延東(女・67歳)中国人民政治協商会議主席(2013年3月就任)
5. 李源潮(61歳)
6. 劉雲山(65歳)
7. 張徳江(65歳)
8. 俞正声(67歳)
9. 張高麗(65歳)

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら