雑誌
女性の卵子はますます老化、男性は無精子症発症、生まれてくる子どもはダウン症の可能性が急上昇 「不妊大国」ニッポンの真実

 出産年齢が上昇し、少子化がますます進む一方、いま不妊治療患者が急増している。その多くは30代後半から40代の、高齢出産を覚悟したカップル。この不妊大国で、いったい何が起きているのか。

21万件を超える治療件数

「初めて病院に行ったときは、すでに結婚13年目。人工授精を始めたものの、失敗続きで、卵の育ちは年々悪くなっていきました。陰性反応(失敗)が出るたび、『ここまでやったんだから、と諦めるために治療をしているのか』と自問自答していました」

 そう語るのは、39歳で不妊治療を受け始めたAさん。彼女の治療歴は凄まじい。体内に人工的に精子を注入する人工授精が25回、卵巣から卵を取り出して受精させる体外受精が12回にものぼった。

 42歳のとき、子宮に戻した卵子にようやく陽性反応が出て、待望の妊娠に成功。しかし、その後の出産・育児でも問題が続出する。

「妊娠中期から喘息のようなひどい咳が出るようになって、出産の際の帝王切開でも出血多量のトラブルがありました。出産直後にはマタニティブルーに陥り、睡眠不足とうつ状態で、育児はおろか起き上がることもできない状態になってしまったんです。

 もっと若い頃なら両親の手を借りることもできたのでしょうが、すでに夫の親は他界し、私の親も遠方住まいの70代。経済的にも、何年も続いた治療で蓄えを使い果たしてしまいました。

 夫が定年を迎える頃、子どもはまだ中学生と思うと気が遠くなります」

 いま、日本中で不妊治療を受ける人の数が増え続けている。日本産科婦人科学会の調べによれば、人工授精と体外受精をあわせた'09年度の年間治療件数は、21万3800件と'00年のほぼ3倍。また、同年にこれらの治療によって生まれた子どもの数は2万6680人で、全体のおよそ40分の1。まもなく、クラスに一人は人工授精・体外受精で生まれた子がいる時代がやってくる。

 全国で、不妊治療を行う認定施設数は588('11年)で世界最多だ。人口3億人のアメリカでも422施設だから、いかに多いかがわかる。いまや日本は、世界一の〝不妊大国〟と言っても過言ではない。

 日本有数の不妊治療実績を誇る大分市のセント・ルカ産婦人科院長、宇都宮隆史医師はこう語る。

「不妊とは、2年以上にわたって自然に妊娠できない状態のこと。セックスレスは不妊とは考えません。

 先日、日本人女性の平均初産年齢が30歳を超えたことが話題になりましたが、当院の不妊治療患者も年々高齢化し、増加してきています。治療に来る患者は40歳前後、共働きのカップルが大半ですね。