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このスーパー異常気象には意味がある
なんかそろそろ来そう 東京湾巨大地震

 東日本大震災から、1年3ヵ月が経過したいま、私たちは大自然の猛威への恐怖を忘れかけていないだろうか。だが日本の地殻と気候は、すでに大変動期に入っている。本当の恐怖はこれからだ。

過去のデータが信用できない

 早朝、ゴウ、という異様な音で目が覚めた。外に出てみると、瞬く間に道路が川のようになり、膝の高さまで水が押し寄せた---。

「60年近く生きとって、はじめて見る『天気』があるとは、思わなかったね」

 福岡県在住の男性(59歳)はこう語ってくれた。7月3日から降り始め、大分県や福岡県を襲った豪雨は1時間の雨量が観測史上最多の91mm(大分県中津市耶馬渓町)を記録した。こたつ板ほどの広さ(1m2)に2リットルサイズのペットボトルが約45本ぶちまけられたことに相当する水量だ。

 近頃、日本の気候はどうもおかしい。今年に入ってからだけでも、

●1月 記録的寒波。各地で大雪。1月下旬の北日本の平均気温は今世紀最低の平年比マイナス1・4度。

●4月 爆弾低気圧が日本縦断。各地で台風並みの突風、豪雨に襲われた。5人死亡、350人負傷。

●5月 茨城県つくば市で竜巻とみられる突風発生。12kmにわたって民家や工場をなぎ倒し、男子中学生1人が犠牲に。

 など、「スーパー異常気象」ともいえる記録的な気候の異変が止まらない。

 7月も早々から全国で真夏日が続出し、「この夏一番の暑さ」というフレーズが飛び交うなどイヤな気配が立ち込めている。

 気象庁が発表した7月~9月の「3ヵ月予報」では今夏は全国的に暑さ、降水量ともに平年並みとされている。だが予報をよく読むと、不可解な文言が目に入る。「今回の予測には不確定性が大きい」。これは一体、どういう意味なのか。

「天候を左右する海水温や偏西風などの数値予測は、過去30年のデータから約50通りの異なる予想をはじき出し、平均を取って作ります。今回はほとんどのパターンで赤道付近の海水温が高くなるエルニーニョ現象が現れていました。

 ところが、我々は冬の終わり頃から『エルニーニョになる』と予想しているのに、現実には一向に起きてこない。それで『不確定性が大きい』としたのです。

 実は昨年も予想に反してエルニーニョが起きず、逆に海水温が低くなるラニーニャ現象が起きてしまった。原因はまだよくわかっていません」(気象庁予報課)

 気象庁も首をかしげる、奇妙な気候の変化。これから一体、何が起ころうとしているのか。

「残念ながら、激甚災害が日常的に起きてしまうかもしれません。すでに風の吹き方ひとつ取っても、以前とは違う、極端なものに変わってしまったのです」

 と話すのは極地や砂漠など辺境の調査を行ってきた長沼毅広島大学准教授だ。

「最近、温暖化が危惧される一方、地球の寒冷化を主張する意見もあります。ふたつは正反対ですが、大きな気候変動である点では同じです。気候変動期の特徴は『激甚化』。これまでも起きていた現象が極端になってしまうということです。

 たとえば、竜巻に襲われたつくば市は昔から雷で有名です。つまりもともと、雷を発生させる積乱雲が発達しやすい地域だった。それが現在では、極端に発達してスーパーセル(巨大積乱雲)にまでなってしまうようになったのです」

 雨、風、雷、熱波・・・・・・。これらが発生する頻度や規模、変化の速さが極限化し、記録的なスーパー異常気象を引き起こすのだ。

 あらためて気象庁予報課に聞くと、最近になって、ようやく少しずつエルニーニョ現象が発生し始めたという。こうなると基本的に日本は多雨・冷夏の傾向となり、残暑が厳しい。一方で、西日本と沖縄・奄美地方では太平洋高気圧が張り出し、晴れて暑い日が多くなるという予想もある。

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