我々はいま、歴史上4回目の「産業革命」を目の当りにしている

テスラ「Model X」のバッテリー・チャージ・インジケーター〔PHOTO〕gettyimages

 100年続いた内燃機関からEVに"エンジン"が変わると、社会はダイナミックに変化し、求められる技術も大きく変わる。これまでの自動車に求められる技術は、機械工学が中心だった。不可欠なのは「技術のすり合わせ」であり、メーカーは技術開発や製造工程の工夫に大きな負荷を負ってきた。そして彼らはエンジン・車体のすべてを内製化した「垂直統合型」で重厚長大型の大企業になったのである。

 一方EVの世界では、自動車に求められる技術は電池やモーターなどの制御技術が中心となる。水平分業により多岐にわたるパーツの外部委託が可能となる。最終組み立てのDELL型「寄せ集め方式」をとることで、「スモール・ハンドレッド」に象徴されるように小規模ベンチャー型の企業が活躍出来るようになるのだ。

 さらに、自動車はITとの親和性も極めて重要になる。いままでオフラインで残されていた車の中に本格的なネットが入ってくる。これによって近い将来テスラモーターズのように自動車産業の主役がデトロイトではなくシリコンバレーに変わる可能性さえ出てきた。

 米アップルは先日、iPhoneやiPad向け OSの最新版「iOS 6」の概要を発表した。従来のGoogle mapに代わる地図情報を独自に提供する新サービスを開始し、この秋から日本や米国で配布する。カーナビゲーションのシステムも採り入れ、道路の渋滞情報を確認したり、指先の操作で地図上にある建物を立体的に見ることもできる。アップルは、グーグルの基本ソフト「アンドロイド」が搭載された携帯端末と競い合って、地図情報分野で先行するグーグルを追う狙いだ。

 日本の情報通信(サービスモデル)や工業メーカー(プロダクト)の「第四次産業革命」への準備は大丈夫だろうか?

ルールメーカーにならなければ生き残れない

 「第四次産業革命」と書いたが、これまでに「産業革命」と言える構造転換は、およそ100年周期で3度存在した。いずれも、その時代を牽引する新しい"エンジン"が社会のパラダイムを大きく変えてきた。そのことを簡単に振り返っておこう。

 第一の革命は「動力革命」だった。ジェームズ・ワットが1769年に開発した「蒸気機関」によって石炭の大量消費が始まり、紡績、船舶、鉄道を中心とした一番はじめの「動力革命」が起こった。その結果、陸地には線路が張り巡らされ、海では蒸気汽船が七つの大洋をグローバルに航海するようになり、必然的に社会は激変した。

 第二の革命が「重化学工業革命」だ。1885年にダイムラーが開発した内燃機関によって、鉄鋼や自動車を中心とした「重化学工業革命」が起こった。車の進化によって一般道路網が整備されたことはもちろん、高速道路までもが造られ、人々の移動はますます活発化した。

 第三の革命が「情報革命」だ。1971年にインテルが発表した世界初の「情報機関(エンジン)」であるマイクロプロセッサーの登場、さらには1990年代初頭に起きたインターネットの劇的な発展によって、デジタル技術による「情報革命」が起こった。この結果eコマースをはじめネットワークを利用する様々な新サービスが産声を上げ、情報産業は瞬く間に超巨大産業へと変貌をとげた。

 そして今世紀に始まった第四の革命こそが「環境エネルギー革命」だ。

 かつて日本のメーカーが得意としてきた自動車・家電といった分野でも、産業構造の変換が起きている。この変化に対応していくには、自らが新しいプラットフォームやプロダクトを生み出すルールメーカーにならなければならない。革命的なイノベーションを生み出さない限り、日本は「環境エネルギー革命」の時代をサバイブすることは出来ないだろう。

 「環境エネルギー革命」はエネルギーインフラ、地球環境、都市環境といった、産業構造全般の変換に深くかかわっている。しかしこの場でその全てに触れるのは困難なので、今回はその中のほんの一例として、電気エネルギーとEVを取り上げたまでだ。

 繰り返しになるが、日本の「第四次産業革命」への準備は大丈夫だろうか?

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