21世紀に求められる教育とは ~スタートアップ時代に登場した新しい選択肢

Thiel FellowshipのHPより

 先週、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事が来日しました。彼女が慶応大学で講演した際の、学生からの若年層失業問題の解決策に関する質問への回答は、実に印象に残るものでした。

「(若年層失業問題の解決には)まず経済成長が必要だが、大学などで教育を受けても、就職活動(で求められる能力)とはギャップがあることがよくある」と述べ、職業技能を身に付けることが重要だと指摘したのです。

■「大学教育と就職にギャップ 若年失業でIMF専務理事」 47NEWS 2012年7月7日 

 大学教育と就職で求められる能力とのギャップというのは、近年、指摘されることの多い課題です。最近目にした以下の2つの取り組みも併せて考えると、大きな変革が求められている社会の中で、大学進学以外の選択肢への注目が一部で高まりつつあることがわかります。

優秀な若者に10万ドルを投資、大学を中退して事業化に取り組むプログラム

■「大学進学を拒否していきなり研究員フェローシップを開始するとどうなるか,という英才教育実験」 TechCrunch Japan 2012年6月15日 

 昨年春、オンライン決済サービス「ペイパル」の共同創業者であり、フェイスブックの初期投資家で資産家 (個人資産約15億ドル=約1200億円)としても知られるピーター・ティエル(Peter Thiel)氏が創設した「20under20 ティエル・フェローシップ・プログラム」が大きな注目を集めました。

 20歳以下の優秀な若者20名(初年度は24名)をフェローに選び、サイエンスやテクノロジーの研究や起業を支援するという2年間のプログラムです。第一回目の昨年、これに世界中から約400名の若者が応募してきたそうです。

 選ばれたフェローには、それぞれ10万ドル(約800万円)の資金が支給されます。シリコンバレーの起業家やベンチャーキャピタリスト、科学者からのメンターシップも得られ、切磋琢磨しながら今までにない技術を創り出し、起業することなどが期待される、というプログラムです。

「Some Ideas Just Can't Wait.(<世の中には>待つことができないアイディアがある)」

 と謳うこのプログラムには、一つ条件があります。フェローは他の仕事をすることや大学で学ぶことを中断し、事業に専念しなければならないのです。

 そして2期目を迎えた今年、2012年版のフェロー20名が6月中旬に発表されました。今回は世界40ヵ国、合計350もの高校、短大、コミュニティ・カレッジ、4年制大学、大学院から1,000人近い応募があったそうです。

 20名のフェローの中には、たとえば核融合が可能な原子炉を14歳のときに製作し、核の脅威を検出する技術などでも数々の科学賞受賞の実績を持つ18歳の少年がいます。他にも医療・ヘルスケア分野や、教育分野におけるテクノロジー活用でイノベーションを目指す有望な若者たちが名を連ねています。

 フェローの選考の様子は、米テレビ局CNBCで7月11日と12日にドキュメンタリー番組として放映されることになっています(www.20under20.cnbc.com) 。

 現在、学生ローンの総額が1兆ドルを越え、若年層の失業率問題が深刻化する米国において、大学教育を真剣に考え直す流れが特に強まっています。同時に、未来を切り開く技術や事業の方向性に大きな注目が集まっていることが感じられます。

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