日英製薬大手の合弁事業がついに始動! 開発途上国並みに退化した日本のワクチン市場に風穴を開けるか!?
日本のワクチン行政は刷新されるか〔PHOTO〕gettyimages

 日英の製薬大手、第一三共とグラクソスミスクライン(GSK)の合弁会社「ジャパンワクチン」(東京都千代田区)が先週(7月2日)、始動した。

 扱うのは、長年、日本の医療行政が門戸を閉ざしてきた感染症の予防薬「ワクチン」市場の開拓だ。

 両社には、ここ数年の子宮頚(=けい)がんワクチンの接種に対する公費補助の開始やインフルエンザワクチンへの関心の高まりを追い風ととらえて、得意分野のノウハウを持ち寄ってビジネスを大きく育てる狙いがあるという。

 「開発途上国並みに退化した」と言われてきた日本市場の閉塞状態を打破することができるかどうか、注目する必要がありそうだ。

事無かれ主義の自己保身行政を見直す動き

 日本はもともと、ワクチンの研究や普及で世界をリードしていた国だ。明治から昭和にかけて、北里柴三郎や野口英世ら世界的に知られる医学者・細菌学者を輩出、1940年代からいち早くワクチンを定期的な接種を制度化するなどの手も打ってきたからだ。

 ところが、1990年代に入って、日本脳炎やインフルエンザのワクチンの副作用問題を巡る訴訟において国が敗訴するケースが続出したことから、行政は態度を一変した。

 その後、世界では画期的なワクチンの開発・普及が相次いだにもかかわらず、国内では対照的に、1995年から12年間にわたって1つも新種のワクチンの販売が認められないような鎖国状態に陥った。

 2年以上前に本連載(2010年6月15日付、「子宮頸がん『ワクチン接種の公費負担』も参議院選挙の争点に」)で詳しく紹介したことがあるが、厚生労働省は、すったもんだの末に子宮頚がんワクチンの国内販売を認めた際にも、公的な接種費用の補助に加えて、副作用に見舞われた場合の公的補償も手厚い「定期予防接種ワクチン」にはあえて指定せず、「任意接種ワクチン」にとどめるなど、事無かれ主義の自己保身行政を続けていた。

 この問題は、先の参議院選挙の争点のひとつにもなった。病気になってから治療するより、予防策を講じた方が患者の負担も社会的なコストも少なくて済むのは明らか。まさに、「転ばぬ先の杖」である。医療費の高騰に歯止めをかけて財政支出の肥大化を抑制する手段として、病気の予防に役立つ多様なワクチンの開発・普及が大きな課題とされたのだ。

 こうした中で、新型インフルエンザを巡って、脅威の高まりが指摘されていたにもにかかわらず、ワクチンの安定確保に疑問符が付く事態が表面化。最近になって、ようやく政府も重い腰をあげてワクチン行政を見直す姿勢を見せ始めた。

 新聞報道によると、政府の行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)は航空や自動車分野と並ぶ規制改革の目玉として、ワクチンの定期接種対象の拡大や輸入ワクチンの品質試験の内外での重複の見直しなどを打ち出し、必要ならば2013年度中に法改正措置を講じる検討に入ったという。特に、子宮頚がん、おたふくかぜ、B型肝炎など世界保健機構(WHO)が接種を推奨しているものについては、接種の公費補助や副作用に遭遇した際の補償が手厚い「定期接種」の対象に加える方向だという。

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