日本の大学教育の失敗(その1)
「東大はグローバルリーダーを養成できない!」

2012年07月09日(月) 田村 耕太郎
受験戦争を勝ち抜く能力とリーダーシップは別物?〔PHOTO〕gettyimages

学部横断のグローバル教育を開始する東大

 秋入学に結論を出せない東大が「国際的に活躍できるグローバル人材育成」を目指す学部横断型の国際コースを2013年に新設する方針を固めた。世界のエリート教育との格差を実感する大学運営側は必死で東大の国際競争力を向上させようと奮闘している。

 一方で日本の中堅以下の大学では全入・定員割れが顕著となり、新卒の就職率が6割を切り、中退者も3割を超えてきた。

 上位校から中堅下位校までの各々が問題を抱えた日本の大学。今回はその日本の大学が抱える問題を検証すべく、47都道府県11ヵ国865大学1152キャンパスを見学してきた大学研究家の山内太地氏に話を聞いた。

リーダー候補を選抜しない入学試験

田村 今日は日本の大学教育を取り巻く問題について広く伺っていきたいと思います。問題点は多々あると思いますが、まずはざっくりとお聞きしたい。

山内 日本の大学の問題は大別して二つあると思います。一つは、これからの時代に必要なエリート教育がなされていない点。もう一つはボリュームゾーンである偏差値50近辺の学生たちがこれから稼いで食べていけるような教育が施されていない点です。私は前者も厳しいと思いますが、後者の方がさらに深刻だと思います。

田村 わかりました。ではまずエリート教育からお聞きします。日本のエリート教育のどこに問題があると思われますか?

山内 まずは入試です。東大を頂点とする日本の高偏差値校は、テストの得点で合否が決まります。答えを出すのが上手い学生ばかりを選んで集める手法です。




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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。