[陸上]
金丸祐三(大塚製薬陸上競技部)<Vol.1>「日本新&ファイナリストへ!」

ケガに泣いた世界陸上

 低い姿勢から大きなストライドでグングン加速し、先頭で風を切る。金丸祐三は今、日本で最も速く400メートルを走る男である。高校3年時に日本選手権を制し、2012年で8連覇を達成した。この9月で25歳。スプリンターとしては脂がのってくる時期である。

 昨年は8月に韓国・大邱で開催された世界陸上に日本代表として出場した。金丸にとっては4度目の世界陸上だった。その前の2大会はいずれもケガに泣いた。5年前、法政大3年時に参加した大阪大会。大阪府高槻市出身の金丸には大きな期待が寄せられた。

 しかし、気負いすぎて必要以上に力が入ったせいか、スタート直後に左太ももを痛めてしまう。肉離れで途中棄権。本人曰く「何が起こったのかわからない」状態でタンカでトラックから運び出された。

 そして3年前のベルリン大会。直前の代表合宿最終日、ラスト1本で練習を締めくくろうと加速した瞬間、再び前触れもなく左太ももに痛みが走った。
「ケガには細心の注意を払っていたのにやってしまった。落ち込みましたね」

 何とか本番には間に合わせたものの、タイムは、その年にマークした自己ベスト(45秒16)に程遠い46秒83。予選敗退を喫した。

 そんな2大会分の悔しさを背負って臨んだ11年の世界陸上。戦いの舞台となる大邱スタジアムでは、大会前の5月に走っていた。世界陸上のリハーサルを兼ねた大邱国際選手権。400mには北京五輪銅メダリストのデヴィット・ネビルらがエントリーしていた。