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ヤマトHD、イエローハット、NTTぷららほか 言い訳無用!これが儲かってる会社の経営哲学だ 

「成功体験を捨てろ」「成績優秀者を現場から外せ」「あえて非効率を突き進め」

 不況を言い訳に赤字を垂れ流し、それでも高給をもらう経営者とは違う。信念があって、結果に厳しい。責任から逃げず、社員も守る。彼らの言葉を聞いていると、日本の明るい未来が見えてくる。

どっちを向いて仕事をするか

 トヨタ、ホンダなどが国内工場の減産を余儀なくされ、ソニーとパナソニックが海外勢に対抗するため提携に活路を見出す。日本を代表する巨大企業が苦境にあえぐ一方、不況や円高を言い訳にせず、好業績を維持している企業がある。

 もう会社のブランドやこれまでの成功体験にしがみついていれば稼げるという時代ではない。彼らは何が違うのか---。儲かっている企業のトップたちに「経営哲学」を聞いた。

「価格競争にみずから首を突っ込んでいく企業は多いですが、これは自滅的な行為です。テレビはその象徴で、価格で勝負をしていたら世界で戦えない。それにどんな事業も30年も経てば成熟し、対策を打ち続けなければ衰退してしまう。日本にはまだまだ底力がある企業がたくさんあるのだから、いま一度、消費者が何を求めているのかを考え直し、本当のモノづくりを極めていくべきでしょう」

 そう語るのは宅配便最大手ヤマトホールディングス(東京都中央区)の木川眞社長(62歳)だ。

 4台のトラックで始めた運送会社が、いまでは社員数17万人、売り上げが1兆2000億円を超える一大企業に発展。昨年の東日本大震災で大きな打撃を受けた〝被災社〟であるにもかかわらず、2011年度も前年比で約250億円の増収を達成した。利益の半分ほどを被災地復興に寄付したことも話題になった。

 宅配便事業は景気にモロに影響を受ける業界。さらに人口減少で市場縮小を余儀なくされている。それなのに2期連続の増収を達成できたのはなぜか。

 木川社長には、こんな独自の哲学がある。

「需要を同業同士で奪い合うだけではすぐに価格競争に陥ってしまう。だからうちは、需要は奪うものではなく、みずから作り出すものだと考えています。

 しかも大半のお客様がまだ気づいていない〝不便さ〟を先取りして、すみやかにサービス化する。鮮度を保ちながらモノを運ぶクール宅急便、プレイの前日までにゴルフ場にゴルフ道具を届けるゴルフ宅急便などがまさにそう。いまも宅急便の代金を軒先で電子マネーで決済できるサービス、過疎地や高齢者の買い物サポートなど、新しい需要を掘り起こし続けているから成長できている」

 しかし、新しい需要がどこにあるのかを見つけるのは簡単ではない。エレクトロニクス業界が、いまや作るほど赤字を増やすテレビ事業の「次」を見つけられずに頭を抱えているのが象徴的だ。需要創造にはどんな〝秘訣〟があるのか。木川社長の答えは明快だ。

「『あなたはどっちを向いていますか』と自らに問いかければ、おのずと答えは見えてきます。つまり宅急便事業でいえば、運賃を払ってくれるのは荷主さんなので、普通の企業であればそちらを向いてしまう。でもわれわれは違って、常にサービスや商品を受け取るお客様のほうを向いてみる。つまり受け取る人たちのストレスをどう解消するか、どう不便さを取り除いてあげるかをいつも考えているから、新しい需要を見つけられるんです」

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