規制委員会9月までに発足
独立性高い3条委、ようやく規制と利用を分離[原子力]

参院本会議で原子力規制委員会設置法案が可決成立し、立ち上がって議場に一礼する細野豪志環境・原発事故担当相=国会内で6月20日

 東京電力福島第1原発事故を受けて、原子力の安全規制を一元化する「原子力規制委員会」設置法が6月20日、成立した。事故から1年3カ月以上が経過し、課題だった原子力の「規制」と「利用」の分離がようやく緒に就いた形だ。政府は委員長を含む委員5人の人選を進め、国会の同意を得たうえで、9月までに新体制を発足させる。

 規制委は、国家行政組織法3条に基づく独立性の高い3条委員会として、環境省に設置。事務局として「原子力規制庁」を置く。経済産業省原子力安全・保安院、内閣府原子力安全委員会などを統合し、分散していた原子力の安全規制の権限・事務を一元化する。

 規制委は、原子力事故が起きた場合に電力会社から報告を求めたり、事故現場へ立ち入り調査する権限も持つ。また防災計画など平時の調整のため、新たに首相と全閣僚による「原子力防災会議」を常設。緊急時の「原子力災害対策本部」との連続性を図る。

 規制庁には、原子力施設の検査や設計の安全性を評価する「独立行政法人・原子力安全基盤機構(JNES)」を廃止して統合する。最終的に総勢1000人規模の組織になる見通しだ。

 また、原子力の規制と利用の分離を徹底するため、経産、文部科学両省から配属された職員には、発足後5年の猶予期間を除いて出身省に戻れない「ノーリターン・ルール」を適用する。

 委員の任期は5年で、首相が任命する。「原子力ムラ」からの独立性を確保するため、委員は原子力事業者からの寄付を情報公開するとともに、在任中は寄付を制限。原子力事業者の役職員は委員になれないと明記した。

 政府はガイドラインを策定して委員の人選にあたるが、これが最初の大きな課題となる。細野豪志原発事故担当相は、委員には原子炉の専門家に加え、地震や放射線防護の専門家も必要との認識を示した。また委員会は5人の合議制だが、原発事故などの緊急時には、委員長が単独で原子炉格納容器の圧力を下げるベントなどの命令権を持つ。

規制委員に「人格」求める

 細野氏は法案成立後、記者団に「極めて重い責任を負うため、専門性と同時に、人格、識見でも大変難しい人選になる。事故への反省をしっかり踏まえた人で、新組織を作る判断能力や危機に対して動じない精神力など、総合的に勘案して選ばなければならない」と慎重に人選することを強調した。

 人格を重視する背景には、福島第1原発事故の際、菅直人前首相の現場への過剰介入や班目春樹原子力安全委員長の責任回避の姿勢が、野党から「菅直人リスク」「班目リスク」として批判の対象となったことがある。

 ただ、専門性と人格を兼ね備えた人物の選定は容易ではなく、適任者が見つかっても本人の承諾が得られるか、さらには国会同意を得られるかが課題となる。

 政府は当初、規制権限を担う原子力規制庁を4月1日に発足させる方針で、1月末に法案を提出した。しかし、自民、公明両党には「国会の事故調査委員会の結果を待つべきだ」「3条委員会にすべきだ」との声があり、党内の意見集約が進まなかった。このため、法案は審議する委員会すら決まらないまま、たなざらしの状態が続いていた。

 自公両党は党内の意見を踏まえた対案を4月20日にようやく提出。だが、同日に参院で田中直紀防衛相、前田武志国土交通相(いずれも当時)に対する問責決議案が可決されたため、国会の審議が止まり、法案審議も進まなかった。

 民自公3党は通常国会での成立を図るため、5月の大型連休ごろから、民主党の仙谷由人政調会長代行、自民党の林芳正政調会長代理、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行の3者による水面下の協議を進めた。政府・与党は早期の法案成立を期して、組織形態は自公案の委員会形式を受け入れることで譲歩した。

 政府案、自公案ともに5月29日に衆院で審議に入った。6月5日からは、衆院環境委員会の民自公3党の理事6人による実務者の修正協議が始まった。

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