サッカー
二宮寿朗「五輪落選の大迫に期待すること」

 ワールドカップ、オリンピック……。大舞台の代表選考にはいつも悲喜こもごものドラマがある。

 2日、男女のロンドン五輪代表メンバーが発表された。U-23代表の関塚隆監督が、なでしこジャパンは佐々木則夫監督がそれぞれメンバーの名前を読み上げた。なでしこではケガ明けの丸山桂里奈(大阪高槻)が滑り込みでメンバー入りを果たしたが、最大のサプライズはU-23代表にあった。

落選ショックを反骨材料に!

 関塚監督が18人目、つまり最後のメンバーを口にしたときに会場からどよめきが起こった。身長187㎝の大型フォワード、杉本健勇(東京Ⅴ)がメンバーに入り、五輪最終予選で6試合中4試合に先発したエース格の大迫勇也(鹿島)が落選したためだ。
「大迫本命、トゥーロン国際で2試合に先発した指宿洋史(セビージャ・アトレティコ)が対抗、成長著しい杉本が大穴」が大方の予想だった。それに山村和也(鹿島)や東慶悟(大宮)など、これまでチームを支えてきた選手が選ばれたことで、発表の途中ながら「予選突破に貢献した大迫で決まりだ」と予想した人も多かったはずである。かくいう私もその一人。6月27日のナビスコカップ清水戦で2ゴールを挙げるなど、調子も上がっていただけに「大迫落選」のインパクトは大きかった。

 トゥーロン国際での大迫のパフォーマンスが指揮官を満足させるものではなかったのも確かである。力強さという点では物足りなかった。ただ、指揮官は「攻守において連動する一体感のあるサッカーを目指す」と言っている。大迫は五輪予選で1トップとしてプレーしており、代表での「連動性」では彼に一日の長があったはず。しかし、指揮官のなかで1トップに力強さ、高さなど「個の力」を求める比重が大きくなったゆえに、杉本をチョイスしたということなのだろう。

 杉本は今年3月にC大阪からJ2の東京Vに期限付き移籍した。そのため、移籍するまでC大阪で代表の主力である清武弘嗣(現ニュルンベルク)、山口螢、扇原貴宏とずっとプレーしてきたというプラスポイントもあった。この点で「連動性」にも不安なしと判断されたということか。いずれにせよ指揮官にとっては「前の組み合わせは考えた」と苦渋の決断であったことは間違いないようだ。

 さて、その大迫である。翌日のスポーツ紙を広げると「五輪のことは忘れました。今はあまり話す気分じゃありません」とコメントを残していた。2007年に韓国で行なわれたU-17W杯でも落選した経緯があり、ロンドン五輪に懸ける気持ちは人一倍強かったと聞いている。彼のショックの大きさを推し量ることはできない。

 過去においても、選考で涙をのんだ選手は数多くいる。アテネ五輪で言えば前田遼一(磐田)、予選で主将を務めた鈴木啓太(浦和)、そして山瀬功治(川崎F)。また北京五輪では伊野波雅彦(神戸)、柏木陽介(浦和)……。

 だが、これらの選手にはその後、A代表に駆け上がって、定着した選手たちも多い。ザックジャパンでは前田はレギュラーを確保しており、伊野波、柏木も常連だ。彼らは悔しさをバネにすることで、レベルアップを図ってきた。見返してやろう、という思いもあったのかもしれない。

 落選のショックを反骨の材料にできるかどうか。大迫をはじめ同じように今回落選した原口元気、浜田水輝(以上、浦和)、山崎亮平、山本康裕(以上、磐田)らU-23代表の常連だった選手には特に奮起を期待したいものである。