[近代五種]
山中詩乃(自衛隊体育学校)<Vol.4>「ロンドンで輝く結果を」

切磋琢磨するライバル

 今回、ともに五輪に初出場する黒須成美(写真左)は「1年半で五輪に出られるくらいになって、すごくセンスを感じる」と山中の急成長ぶりに驚きを隠さない。黒須は中学2年から競技を本格的に始めたが、五輪の切符を得るには6年を要した。「強い選手がいたほうが私も刺激になって頑張れる」と“ライバル”の出現は歓迎だ。

 山中にとっても日本の第一人者である黒須の存在は大きい。
「大会も経験しているので、いろんなことを教えてもらって勉強になります。外国の選手ともフレンドリーに話をしていてうらやましいですね」

 日本の近代五種は層が非常に薄い。それだけにお互いが切磋卓磨できる環境が生まれたことはレベルアップにつながる。また試合になるとフェンシングは2人1組になって各選手と総当りで試合をしていく。1人で参加している国・地域の選手は徹底して標的にされるため、戦略上も代表が2人いたほうが有利だ。

 五輪に向けて、山中はハードな1週間を過ごしてきた。5種目を満遍なく強化すべく、練習のスケジュールがびっしりと詰まっている。基本の予定は以下のとおりだ。

月曜=午前:射撃 午後:フェンシングと筋力トレーニング 夜間:水泳
火曜=午前:馬術 午後:水泳とフェンシング
水曜=午前:陸上とフェンシング
木曜=午前:射撃と陸上 午後:水泳とフェンシング
金曜=午前:馬術 午後:水泳とフェンシング
土曜=午前:水泳と陸上のサーキットトレーニング
日曜=オフ

 練習は自衛隊の中だけでなく、たとえば馬術では馬事公苑に出かけて指導を受けることもある。取材日はちょうど馬術のトレーニングをしていた。だが、まだ馬を充分にコントロールできず、せっかく障害を越えても反対方向へ動いてしまう。何度か繰り返して、ようやく思った方向へ馬を走らせることができた。しかし、コーチからは「頭が下がっている。前を見て。まだ終わりじゃない」と厳しい声が飛ぶ。