経済の死角

スカイマーク社長 西久保愼一 批判されてもあえて言い続ける「顧客の苦情を受け付けない経営哲学」

2012年07月03日(火) 週刊現代
週刊現代
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スカイマーク社長 西久保愼一氏〔PHOTO〕gettyimages

 経済不況にもかかわらず経常利益は150億円超。上昇気流に乗る業界の異端児は一見、傲慢な接客指針を提案した。「お客様は神様」---そんな旧い価値観に抗う経営者が日本の空に革命を起こした。

客に「出ていってください」

〈客室乗務員は収納の援助をいたしません〉〈客室乗務員の私語等について苦情を頂くことがありますが、(中略)お客様に直接関わりのない苦情についてはお受けいたしかねます〉〈ご不満のあるお客様は『スカイマークお客様相談センター』あるいは『消費生活センター』等に連絡されますようお願いいたします〉

 低価格運賃を武器に業績を伸ばしている航空会社「スカイマーク」が、今年5月から機内の座席ポケットに備え付けた「サービスコンセプト」は大きな波紋を呼んだ。

 スカイマークの指針に対して、「傲慢だ」「客を客とも思わぬ対応」という批判が巻き起こる一方、一部には「些細なことにもケチをつけるクレーマー対策としてもっともな主張だ」と評する声もある。消費者庁は「苦情を公的機関に振り分ける姿勢は容認できない」として同社へ文書の撤回を指示した。

 客を無視する傲慢か、それとも勇気ある正論か---。この文書を作った真意について同社の西久保愼一社長(56歳)に聞いた。

*

 言うまでもないことですが、安全運航が大前提。それはどの航空会社も同じです。しかし、われわれは、JALやANAといった大手と運賃競争をするために世に出てきたベンチャーです。最大のサービスは運賃の安さ。客室乗務員が愛想笑いを浮かべながら提供する表面的なサービスより、運賃で勝負しようというスタンスで経営をしてきました。第一、われわれはサービス業ではなく輸送業者です。「運賃以外のサービス」と言ってもおのずと限界があります。平たく言えば、新幹線に乗車したときに受ける程度のサービスをイメージしてもらえたらなと思うんです。

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