雑誌
民主も自民もついでに財界もこうしてぶっ潰す 橋下徹 反乱軍を鎮圧する

 消費増税で永田町が混乱するのと同時に、橋下叩きが激化している。増税、原発再稼働・・・・・・「腐った統治システムの破壊者」を自任する橋下氏が潰れて笑うのは誰か。〝反乱軍〟の背後に敵の正体が見える。

制御不能の人間兵器

「橋下さんは国政に出ると言ってるでしょ。調子に乗るなと言いたいわ」

 永田町の政界が、消費増税問題で大揺れする中、その動向に再び注目が集まっているのが、橋下徹・大阪市長だ。内紛状態の民主党は、もはや党としての体を成しておらず、分裂・消滅は秒読み段階にある。

 もし、近い未来に解散・総選挙が行われた場合、橋下氏はどんな決断を下し、行動するのか。中央の動揺が大きくなればなるほど、同氏の存在感は増していく。ところが、そんな大阪市長に、冒頭のように「ダメ出し」をするのは、三起商行(ミキハウス)社長の木村皓一氏である。

 木村氏は'08年の大阪府知事選で橋下氏を擁立、その後も「経済人・大阪維新の会」の副会長として支援を続けてきた。橋下氏にとっては恩人というべき人物の一人であり、同時に財界ブレーンの一人でもある。

 そんな木村氏が、橋下氏に対して公然と苦言を呈している。

「橋下さんは大阪都構想などについては、期待通りの働きをしてくれていると思います。しかし、誤算がありました。いつのまにか府市の顧問団とやらを50人くらい集めてしまって。

 原発反対派で、経産省の言うことには何でも反対の古賀茂明氏が筆頭です。原発反対、節電と言っても、それで大阪はどうするのですか、と。経営者にクビくくれと言いたいのですか。

 原発は危険というけど、(原発が稼働した)この50年で、交通事故で100万人以上が死んでるわけです。原発でそんなに死にましたか?橋下さんは、ただ単に注目を浴びたいだけだと思いますよ。実際、大停電が起きたら誰が責任取るのかと言いたいですわ」

 なぜ原発の再稼働に反対したのか。大阪の産業を守る気はないのか。過度の節電や不意の大停電で一般市民に犠牲が出たら、橋下市長はどうするつもりか---。ここ最近、各所で噴出している批判の声だ。

 当の橋下氏自身が停電の可能性を完全に否定できず、容認に転じたのだから、いかにも、もっともに聞こえる。だが、そうした理屈は、決して本質を語っているわけではない。前出の「経済人・大阪維新の会」関係者の一人は、こんな〝ホンネ〟を漏らしている。

「我々が橋下氏を擁立した真の狙いは、大阪府と市にはびこる労働組合を骨抜きにすることでした。生半可な人材では、海千山千の労組と対決し、屈服させるのはムリです。その点、無鉄砲な橋下氏は、対組合の『リーサル・ウェポン(人間兵器)』にうってつけでした。

 ところが、その兵器が最近、敵味方の区別なく四方八方に弾を放つようになってきた。そのうえ、国政に進出するとまで言い出すとは計算違い・・・・・・。制御不能の人間兵器を、このまま放置するのはあまりに危険であると、多くの経済人がそう感じ始めたのです」

 リーサル・ウェポンとは、まさに橋下氏のためにあるような言葉だ。この国の古びて朽ちかけたシステムを破壊するために担ぎ上げられ、大阪に維新の旗を立てた男。立ちふさがろうとする者を薙ぎ払って進もうとするその姿が、国民からの共感を呼んできた。

 ところが、橋下氏は今、足元から涌き出る「反乱軍」に包囲されつつある。「やりすぎ」に業を煮やした財界人の離反だけではない。政治的には素人レベルの人材が多く、「烏合の衆」と揶揄された大阪維新の会の弱点が、ここにきて表面化しつつあるのだ。

 6月17日、大阪市内で開かれた維新の会の全体会議で、異変は起きた。同会議出席者の一人がこう語る。

「実はその場で、維新政治塾の塾生の選定を巡り、橋下さんや松井一郎幹事長(大阪府知事)ら執行部と、所属の議員たちがものすごく揉めたんです。というのも、塾生の選定については末端の議員が必死で書類選考などをして合否の判定をしたのですが、蓋を開けてみると、執行部の一存で落ちたはずの候補生が何人も合格していたんです」

 この日の会議では、女性市議の一人が敢然と立ち上がり、「なぜ自分たちが苦労して選定した結果を無視して、落選者を執行部が拾い上げているのか」と、橋下氏らに猛抗議する一幕があったという。

「選んだほうからすれば、議員の仕事の合間に必死で作業したのに、無視されたわけです。受講態度が明らかに悪く、『これはダメだ』と落としたはずが、いつのまにか復活していた。それを問いただすと、松井さんが『政治的な配慮で』などと曖昧な釈明をした。

 実は問題の復活候補生は、みんなの党などに所属する受講生ばかりだったんですよ。それを松井さんがあっさり認めて開き直った感じになったから、会議が紛糾した」(同出席者)

 その場では橋下氏も「あくまで塾生の選定であって、選挙の候補者の選定ではないから理解していただきたい」と説明したが、会議の参加者たちの目からは、苦しい言い訳をしているだけのように見えたという。

 維新の会関係者の一人が、内情をこう解説する。

「結局、みんなバラバラの方向を向いているんです。橋下さんが、大阪を都にするというから、それに期待して維新の会に参加している者もいれば、国政進出を見込んで維新塾の塾生を目指している者もいる。もし塾生が国政選挙の候補になるというなら、古参の府議や市議は、どこの馬の骨とも分からない候補を、自分たちが応援しなくてはならなくなります。『そんなの、ありえへん』というのが府議市議のホンネで、亀裂が広がっているんです」

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら