澤穂希が復帰するも、米国のワンバック&モーガンの両エースの前に為す術なし
力負け!なでしこJAPANが感じた「壁」

 最終スコアは、1-4。'11年ドイツW杯王者のなでしこJAPANが、久々に経験した世界ランク1位の「壁」だった。

「最大のライバル・アメリカに対して、最近は力の差を戦術や戦い方によって埋めてきましたが、相手の力を発揮させてしまったら、こうなるということです」

 試合後、キャプテンの宮間あや(27)は、冷静に振り返った。

 1勝22敗5分という通算対戦成績(PK戦は引き分けとして計算)から考えると、「力負け」という言葉がピッタリ当てはまる敗戦だった。日本DF陣は、世代を超えたアメリカ代表の両エース、新鋭FWアレックス・モーガン(22)とストライカーのアビー・ワンバック(32)に切り裂かれた。特に、前半3分に先制点を挙げたモーガンは、何度もディフェンスの裏に抜け出して日本を慌てさせた。

 現地で取材に当たったスポーツライターの栗原正夫氏が、敗因を語る。

「試合開始直後から、アメリカ代表が積極的にプレッシャーをかけてきていました。ビビってしまった日本は、生命線であるパス回しができず、宮間や阪口(夢穂・24)ら中盤がミスを連発してしまった。失点の場面は、アメリカの個の強さに負けた印象です。特に、モーガンのスピードを活かしてロングボールを多用する展開に、CBの宇津木(瑠美・23)・矢野(喬子・28)らが対応できませんでした」

 この試合では、「良性発作性頭位めまい症」に苦しんでいた澤穂希(33)が、110日ぶりに代表復帰したのだが本調子とはほど遠かった。効果的な動きができず、ミスを連発。見せ場を作れないまま後半12分に途中交代している。

「澤らしさはゼロでしたね。前線からのプレスに押されっぱなしでしたし、ボランチの相棒である阪口との連係も取れていなかった。チーム内でも最悪のデキでしょう。久々の代表戦だったので慣れの部分もあると思いますが、33歳という年齢を考えると体力的な衰えという可能性もなくはないでしょう」(現地で観戦したサッカージャーナリスト)

 澤だけでなく、なでしこのスターティングメンバーは昨年のW杯から変わっていない。

 一方でアメリカ代表は、ドイツW杯当時サブだったモーガンが主力選手になるなど、着実に選手層が厚くなっている。180cmと長身のワンバックに、圧倒的なスピードを誇るモーガン。日本の前に立ちはだかる壁は、高くなるばかりだ。

「アメリカが、フィジカルに頼りロングボールを使った早い展開で組み立てたのは、体格差のある日本への対策と言えます。ロンドンでは、各国が、なでしこに対する挑戦者として臨んでくることが予想されます。厳しい闘いになるでしょう」(スポーツライター・矢内由美子氏)

 現在、なでしこの世界ランクは3位だが、五輪では、準々決勝でアメリカやブラジル(世界ランク5位)、ドイツW杯で負けたイギリス(イングランド・同9位)などと対戦する可能性がある。

 世界の壁を破り金メダルを獲得するために、ムダにしていい時間はない。

「フライデー」2012年7月6日号より