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アップルストアの厳しい労働環境がブログスフィアで大きな話題に! ~世界で最も尊敬される超優良企業の光と闇を考える

「最高の顧客体験」を提供するアップルストアだが・・・〔PHOTO〕gettyimages

 アップルストア従業員の給与や労働環境などをつぶさに紹介した、米ニューヨーク・タイムズ紙の記事がウエブ上で大きな話題となっている。同記事のオンライン版に直接寄せられたコメントだけでも、掲載後2日間で1200件を超えたほか、これについて書かれたブログは途方もない数に達する。

■「Apple’s Retail Army, Long on Loyalty but Short on Pay(アップルの小売戦士、忠誠心は高いが給料は安い)」 

 このタイムズ紙の記事は、(このタイトルから明らかなように)巨額の利益をたたき出している超優良企業アップルが、販売の最前線で働く従業員には(劣悪とは言えないまでも)かなり厳しい労働条件を課していることを詳しく報じている。

 折しも同記事が掲載された6月23日には、米ダウ・ジョーンズ社が発行する金融情報誌『バロンズ』が、「世界で尊敬される企業上位100社」を発表し、そこでは2年連続でアップルが第1位に輝いている。米国を代表する2大メディアがたまたま同じ日に掲載した、同じ会社に関する2つの記事は、そもそも優良企業とは何なのか、尊敬される企業とは何なのかを改めて考える機会を提供している。

熱烈なファンを採用して、高い勤労意欲を実現

 ニューヨーク・タイムズは以前から、中国にあるアップル下請け工場の劣悪で危険な労働環境を繰り返し糾弾するなど、明暗2つの側面を持つアップルのダーク・サイドに光を当ててきた。

 今回はお膝元のアメリカにおけるアップルストアの労働環境を取り上げたわけだが、そこでは一人で3ヵ月間に75万ドル(約6,000万円)を売り上げる店員が、僅か11ドル余り(約900円)の時給に甘んじていると報じるなど、かなり生々しい内容となっている(ちなみにアップルはこの記事が掲載された頃に、アップルストア従業員の給与を上げたが、それは偶然であって、必ずしも、この記事のせいとは言えないようだ)。

 アップルストアは故スティーブ・ジョブズ氏直々の発案で、2001年5月にオープンしたアップル直営店であり、今では日本を含め世界各国に店舗を広げている。「コントロール・フリーク(すべてをコントロールしなければ我慢できない人)」と呼ばれたジョブズ氏の意思とビジョンを店の隅々にまで反映し、「最高の顧客体験」を提供することを目的としている。これを実現するための工夫をタイムズ紙は、アップルストアを辞めた元店員等への取材をもとに、つぶさに紹介している。

 それによれば、アップルストア店員の給与などの待遇面は、他の大型小売店などと比べて決して良いわけではないが、それでも優秀な人材がたくさん集まって来る。その背景にはアップルを支える膨大なファン基盤があるという。つまり以前からアップル製品の熱心なファンであり、「いつか自分も、この偉大な企業の一員として働いてみたい」という若者が、引きも切らずに採用面接に応募してくるのだという。

 このような人たちは給与を抑えられても、会社に対する忠誠心は高く、仕事の呑み込みも早い。日本でも、たとえば東京ディズニーランドの従業員の高い勤労意欲と、それを育む教育プログラム等が注目されているが、そもそも「ディズニーランド大好き」というファン心理がそのベースとして存在する点は、アップルと共通するようだ。つまり会社の全てを受け入れる姿勢が、既に入社する前から存在するのである。

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