政治政策
野田首相を増税に踏み切らせた「政権万能論」と「経済的無知」 ~菅直人前首相のブログから読み解く民主党「マニフェスト破り」の論理
野田首相と菅前首相〔PHOTO〕gettyimages

「小沢グループと呼ばれている人々」への呼び掛け

 社会保障と税の改革一体法案が衆議院で採決された3日前に遡る。前首相の菅直人氏が久々に話題になった。国会での活動ではなく、菅氏が運営しているブログの6月23日付けのエントリーがニュースになったのだ。

 社会保障と税の一体改革法案の採決を前にして、民主党では、小沢一郎氏に近いとされる議員多数が「造反」するのではないかと報じられ、数十人単位の議員が離党して新党を結成するのではないかともいわれていた。こうした中で、菅氏は、「小沢グループと呼ばれている皆さん、ぜひ目を覚ましてほしい。小沢氏の個利個略のために、駒として利用されることがないように、目を覚ましてほしい。そして小沢氏の呪縛から離れて、自らの判断で、行動してほしい」と呼び掛けたのだ。

 支持率が低迷して首相を辞めたせいもあるし、もともと小沢氏に近いとされる議員達と菅氏とでは政治的立場が遠いので、菅氏のこの呼びかけに呼応する「小沢系」議員がいるとは思えない。

 しかし、法案の採決を巡って、鳩山元首相まで野田首相と会ったということが報じられた昨今、菅氏も一言言いたくなったのだろう。ブログであれば、自分の意見を自分の言葉で、ローコストで世間に届けられる。「市民運動家出身」と言われることの多かった菅氏に似つかわしい呼び掛けだった。

 法案採決への「造反」に民主党がどういう態度を取るのか、政局報道的には興味深い局面なのかも知れないが、既に自民党・公明党との合意が出来ていた。法案に反対する諸氏にあっては、反対が本気なら、もっと早いタイミングで反対を有効に訴えることができたのではないかとの念が拭えない。大勢が決してからの造反に動き出すのでは、法案に賛成しているのと大差ない。

 筆者には、試合展開を打ち合わせ済みの(ショーとしての)プロレスのようなものにしか見えない。仮に「新党」が出来たとしてても、かつてのプロレス界によくあった「新団体結成」のようなもので新味はない。

 この問題よりも筆者の興味を引いたのは、菅氏のブログの「政権交代後の出来事に対応するのは政権の責任」と題された一日前(6月22日)のエントリーだ。このエントリーの短文を読むと、民主党政権がどうしてここまで曲がってしまったのか、その原因が分かる。

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