あと一歩!あと1センチ!あと一人!日本代表も身近な課題として受け止めてほしい、熱戦が続くユーロ2012での"勝負の分かれ目"
ギリシャ選手のタックルをかわすマリオ・ゴメス〔PHOTO〕gettyimages

 日本にいるにもかかわらず、時差のあるような生活を送っています。そう、サッカーの欧州チャンピオンを決めるユーロ2012を、毎晩のようにテレビで観戦しているからです。

 ワールドカップは世界一の国を決める大会だが、世界最強のチームを決める大会ではない---こんなことをしばしば聞きます。では、世界最強を決める大会は? UEFAチャンピオンズリーグを推す声は多いのですが、ユーロもまたきわめてレベルの高い大会です。

 理由は複合的なものでしょう。ワールドカップは異なる大陸間で争われますが、ユーロは文字どおり欧州圏内の戦いです。基本的に時差はなく、食事のストレスも少ない。トレーニング施設や宿泊施設もしっかりと整っている。すべてにおいて既知の環境にあることが、質の高いゲームを作り出す前提条件となっているのでしょう。この時期のヨーロッパは、気候的にとても過ごしやすいことも見逃せません。端的にいえば、いいゲームが生まれる条件が揃っているのです。

 それにしても、レベルが高い! グループステージから、大差のついたゲームはほとんどない。最終的に点差が開いても、終盤までどちらに転んでもおかしくないような内容となっている。こういうタイトなゲームを戦っていれば、レベルが上がるのは間違いありません。アジアで戦ういる日本からすると、何とも羨ましい限りです。同じ大陸で切磋琢磨することは、ワールドカップの上位進出の足掛かりとなるのですから。

負のスパイラルに陥ったオランダ

 今回のユーロのレベルを物語る上での分かりやすいトピックは、2010年の南アフリカW杯で準優勝したオランダのグループステージ敗退でしょう。南アW杯後の2年間で、選手のクオリティが急激に落ちているわけではない。年齢的にはむしろ、もっともいい時期に差しかっている選手が多いぐらいです。監督も代わっていない。十分な継続性を持って、今回の大会に臨んでいたわけです。

 ところが、戦い方ひとつでこういったことになる。何よりも響いたのは初戦でした。3試合の結果で順位を決めるグループステージで、初戦に黒星を喫するのは致命的です。相当に地力がないと、残り2試合で挽回するのは難しい。いきなり突きつけられた黒星が自信を失うことにつながったり、ストレスやプレッシャーを運んできたり、チームのまとまりが崩れるきっかけにもなりかねません。

 その後のゲームプランでも、どこかでリスクを負わなければならなくなる。本来の自分たちの姿から、どんどん遠ざかっていく。今大会のオランダは、負のスパイラルに陥ってしまったといえます。ロンドン五輪を控えた男女の日本代表も、身近な課題として受け止めてほしいですね。

 今大会ではチェコが、黒星スタートからベスト8に勝ち残りました。しかし、彼らが戦ったグループAは本命不在でした。混戦模様だっただけに、どうにか巻き返すことができたのでしょう。

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