中国
世界を掌で転がす胡錦濤主席と党内の政争に首が回らない野田首相---隣国同士の明暗が際立ったロスカボスでのG20首脳会談
コップの中の争いに明け暮れるうちに世界での存在感を失っている野田首相〔PHOTO〕gettyimages

 6月21日午後、小沢一郎元民主党代表が「われわれは正義を貫く!」と、都内のホテルで雄叫びを上げ、日本中がその動向を注視した。ちょうどその頃、東京から約2100km離れたこちら北京では、胡錦濤主席を乗せた政府専用機が空港に着陸し、胡主席は自信に満ちた足取りでタラップを降りて、職住のある中南海へと向かった。

 胡主席は、6月18日と19日に、メキシコのロスカボスで開かれた第7回G20首脳会談に参加したのだった。

その直前には、14日から16日まで、デンマークを公式訪問した。国交を樹立して以来、62年間も中国首脳が寄り付かなかったこの北欧の小国を、今回は単独で3日間も訪問した。それは、中国と友好を保つことのメリットを、青息吐息のEU27ヵ国に誇示するためである。

G20でも群を抜く中国の存在感

 ブルーの上品なスーツに身を包んだデンマーク女王マーガレット2世は、胡錦濤主席を、まさに「賓客」として、最上の礼をもって迎え入れた。何と言っても、胡錦濤主席が引き連れてきた中国国有企業の代表団は、デンマーク企業との計20項目もの大型契約に署名したのだから。風力発電プロジェクトから新薬開発の提携まで、計107億元(約1,350億円)に上る巨額ビジネスだ。

 昨年の中国とデンマークの貿易額は548億元なので、わずか1日で、年間貿易額の5分の1に匹敵するビッグ・ディールを成約させてしまったことになる。そして中国はコペンハーゲンで、「5年以内にデンマークとの貿易額を倍増させる」と宣言した。すべては、「欧州危機への対処」がテーマのG20へ向けた、中国式の「演出」だ。

 ロスカボスG20でも、中国の存在感は群を抜いていた。まずはロシア、インド、ブラジル、南アフリカの各首脳と、G20直前に恒例となったBRICs(主要新興国家)サミットを開催。南アを除く4ヵ国でIMF(国際通貨基金)に対して、計730億ドルを増資すると発表した。うち中国が1ヵ国で430億ドルと、過半数を占める。もちろん、ただの増資ではなく、「新興国家、特に世界第2の経済大国である中国の発言権を拡大させること」という条件を付けたのだった。

 IMFは、2010年秋の出資比率改革によって、アメリカ16.8%、日本6.25%、ドイツ5.83%、フランス4.3%、イギリス4.3%、中国3.82%・・・という新規約を決めた。中国はようやく6位まで上がってきたわけだ。

 IMFの規約によれば、出資比率がそのまま発言権比率となり、15%以上の発言権比率があれば、あらゆる決議案は否決できる。つまりBRICsの5ヵ国を合わせても何の力もないが、アメリカ1ヵ国が拒否権を持っているわけである。

 さらに、IMFトップの専務理事はヨーロッパ人、3人の副理事は、第一がアメリカで、第二と第三は日本と、北米・欧州・アジア以外の大陸出身者という不文律があった。これも昨年5月に中国が風穴を開け、第四の副理事として、朱民・中国人民銀行副総裁をIMFに押し込んだ。

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