緊縮派が勝利でもギリシャの経済状況は変わらず

 6月17日のギリシャの再選挙で、財政緊縮を主張する新民主主義党(ND)が第一党の地位を確保した。NDは連立を組んで、政権の座に就くことになるとみられる。今回の結果によって、緊縮財政に反対しIMFやEUとの合意事項を無効にすると主張してきた、急進左派連合(SYRIZA)が政権を取ることはなくなった。取り敢えず、EUからの追加支援が止まる事態は避けられた。

 金融市場では初動の反応として今回の選挙結果を好感し、株式市場は堅調な展開を示している。為替市場では投機筋のユーロ買い戻しの動きが出ており、ユーロが強含みの展開になっている。当面、金融市場のこうした動きが続くものと予想される。

 しかし、今回のギリシャンの選挙の結果によって、肝心のギリシャの経済状況が大きく変わったわけではない。現在の状況が続くと、いずれ一段の追加支援が要請される可能性は高い。また、緊縮反対派に対する国民の支持も無視することはできないだろう。これからも、ユーロの信用不安問題には紆余曲折があると見た方が良い。

厳しい状況に追い込まれているギリシャ経済

 海外メディアなどの報道によると、ギリシャの経済状況はかなり悪化している。政府や民間企業の支払いが滞るなどの事態が発生しており、経済活動はいたるところで停滞している。また、GDPの約16%を占める観光収入は、観光客の減少によって激減している。ロンドン在住のアナリストによると、「ギリシャは、安心して観光できる場所ではなくなりつつある」という。

 ギリシャの今年1-3月期の失業率は、22.6%と史上最悪の水準にまで上昇している。また、国民の間には動揺が広がっており、ギリシャ国内の金融機関の信用状況も低下している。一部の富裕層などが、預金を海外の金融機関に移動させる動きが一段と鮮明化しているという。

 今後、こうした状況が続くようだと、財政再建の道はさらに厳しくなる。ギリシャが既にEU等と同意した、財政赤字の削減を達成することは至難の業になっている。これから、ギリシャがEUの追加支援を要請することになる可能性は高い。それが現実味を帯びてきたとき、ドイツなどが無条件にその要請を受けるとは考えにくい。

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