スペシャルレポート プロ野球 寮長たちは見た!
「一流と二流、これが分かれ目」

 スタートは一緒だ。同じ日に寮に入った。グラウンドではもちろん、食事も、遊びの時間もすべて、野球に捧げてきた。でも気づけばその差は、広がっていた。〝分岐点〟は、意外なところにあった。

「全力」の眼差し

「強烈ですよ。まるで睨みつけてくるようなあの眼差しは、一度見ると忘れられなくなる」

 阪神やオリックスなどでコーチを歴任した岡義朗氏は、入団当時の前田健太(24歳)の鬼気迫る瞳に、何度も気圧されそうになったという。

 岡氏は当時、広島で二軍守備走塁コーチと若手の寄宿寮「大野寮」の寮長を兼任していた。

「あれほど貪欲で気迫に満ちた新人は、最近では他にいないでしょうね。前田は真剣というより、『全力』なんですよ。談笑しているときでも、自分にとってプラスになりそうな話が出ると急に目の色が変わる。どんな小さなきっかけでも、全力で欲しがるんです」

 前田ははじめから異質だった。右も左もわからないはずの高卒1年目にして、アップからストレッチ、ブルペンでの投球数に至るまで、自分の野球、ルールを確立していた。

 ただし前田が「一流」たる所以はそれだけではない。

「彼が何より恐ろしいのは、空気が読めてしまうことなんですよ」

 例えば試合前、前田はよく敵方の選手と談笑をしている。初めて話す先輩選手でも物怖じせず挨拶を交わす姿がよく見られている。

「そうやって話しかけながら、何気なく変化球の握りや、自分のフォームについて意見を探りだしているんです。傲岸不遜とは絶対に違う、恐ろしい才能ですよ」

 そう語る岡氏には、もう一人、前田とは対照的な理由で思い入れの強い捕手がいる。

 白濱裕太(26歳)。昨年、8年目でようやく一軍初出場を果たした苦労人だ。その性格に最も似合う言葉は、「几帳面」だろう。

 岡氏が続ける。

「彼がまだ寮にいた頃、洗濯には柔軟剤を使ったり、部屋の掃除も、仕上げにコロコロ転がす粘着クリーナーを用いたりして、床には塵ひとつ落ちていなかった。

 昔から部屋の片付けが下手な選手は大成しないと言われるので、綺麗にすること自体は悪いこととは思いませんが・・・・・・」

 捕手は「気配りと目配りのポジション」と言われる。だが一方で、岡氏はその几帳面さを心配していた。