日本人の英語下手の原因は発音教育の軽視にある。日本の発音教育改革に挑むイフ学語学院の「中野メソッド」

2012年06月18日(月) 田村 耕太郎

発音は国際社会における最重要ポイント

---日本の英語教育では発音がますます軽視されているように感じます。訛りやアクセントを気にせず話そう、との気運です。いかが思われますか?

イフ外語学院/中野学院長

 初心者はそれで充分だと思います。しかし、英語を教える立場になろうという人は当然、そうはいかないでしょう。また、国家や企業の代表として、英語で話す機会のある方も、発音は自分だけの問題ではなく国家や企業の品格を判定されるは要素である、ということを認識すべきです。

 そもそも日本語は「50音」というくらい、発音のバリエーションが少なく、日本人は複雑な音を聞き分けて話す能力が劣っています。インド人の名前を見てもらえばわかるように、インドでは子音が複雑に混ざり合った音が無数にあります。だからインド人は英語くらいの発音バリエーションならすぐに対応してしまいます。

 われわれはインド英語を訛りの強い英語だと思っていますが、われわれが気づいていないだけで、彼らの方がはるかに正確な音に近い発音を行っています。中国語も韓国語も発音のバリエーションが日本語より複雑で多様です。だから彼らの方が聞き分け能力や発音能力が高いのです。

---なぜ発音が大事なのでしょう。スピーキングだけの問題でしょうか?

 簡単なことです。日本にいる外国人で日本語が流暢な人に出会うと、感服しますよね。また、尊敬の念と共に、そこまで日本語に精通してくれた努力に対して感謝の念さえ覚えます。他国言語の発音を極めるということは、その国の文化に対する最大のリスぺクトですよ。

 発音が下手であるということは、その国の言語にも文化にもさほど興味がなく、努力もしていないということです。実際に努力していませんけれどね。そして海外で商売をする人や、国家を代表する人の発音が下手ならば、最初から、他国の文化への真摯な敬意を払わない相手だと判定されるわけです。多くの日本人は実際に大きな努力を伴うほど他国文化に敬意を払っていないので、仕方ないのかもしれませんが。

 発音は、国際社会において、その人物の文化、教育、知性、見識、教養の全てが瞬時に判断されてしまう最重要ポイントだとの認識が必要だと思っています。このように考える日本人は私だけかもしれませんが。

 もう一つ大事なのは、正確な発音ができない言葉は聞き取れないということです。日本人がヒアリングを苦手とする原因は、発音の軽視にあると思います。正しい発音で話せるようになれば、自然と聴き取り能力も向上してくるのです。




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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。