ユーロの価値は中長期的には下落傾向だが、短期的には大量の買戻しが入る可能性あり
6月10日バルセロナ、政府による支援要請に反対する人々〔PHOTO〕gettyimages

 スペイン政府は、国内の金融機関への公的資金注入のための支援をEU諸国に要請する。かなり以前から、金融専門家の間では「支援要請は時間の問題」と指摘されており、むしろ、もっと早く要請を行うべきだったとの声が多い。その意味では、スペインの今回の措置に驚きはない。

 ただ、スペイン国内では、今回、資金注入の対象となる金融機関だけではなく、地方政府もかなり財政的に苦しい状況に追い込まれている。今回の支援実施によって、スペインが抱えるすべての問題が片付くわけではないだろう。

 また、17日に控えるギリシャの再選挙も未だ予断を許さない状況だ。結果によっては、ギリシャがユーロ離脱に向かって動き出すことも考えられるし、そうした状況を考えると、統一通貨であるユーロは、当面、予測の難しい不安定な動向が続くことになるだろう。

簡単に解決できないギリシャ・スペイン問題

 ユーロ圏諸国が抱える経済格差の問題は、そう簡単に解決できるものではない。格差是正の一つの方策であるユーロ共同債の発行などのスキームには、ユーロ圏の盟主であるドイツが頑として反対している。また、圏内の財政統一にはまだ多くの時間が掛かるだろう。結果的に、個別の問題への逐次対応を余儀なくされることになる。

 たとえ選挙で緊縮財政派が多数を占めたとしても、ギリシャの財政赤字を削減することは容易なではない。そのため欧州の専門家の間では、「いずれギリシャはユーロから離脱せざるを得ない」との見方が有力になっている。

 また、スペインが支援を受けたとしても、短期間にはスペイン経済が回復へ向かうとは考えにくい。失業率が20%を越える労働市場の回復には相当な時間が掛かるだろう。その他にも、ポルトガル、アイルランドの状況は改善したとはいえ、安心出来る状況には程遠い。ユーロ圏発祥の世界的な経済危機の懸念すら残っている。

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