選挙 経済・財政
「解散」も「民主党分裂」も回避し増税法案成立へ動き出した「消費増税政局」の転換点は6月1日
〔PHOTO〕gettyimages

 6月1日が「消費増税政局」の転換点だったのではないか。この日午後3時半すぎから、首相・野田佳彦と民主党幹事長・輿石東が首相官邸で2人だけで約1時間会談。野田は同日夜、周辺に「大変有益な会談だった」と漏らした。

 この会談は民主党元代表・小沢一郎を交えた再会談や、消費増税法案を会期に衆院で採決することが決まったと報道された。それは現象面のことで、この会談で野田は「この国会で衆院を解散しない」というカードを切り、その見返りに輿石は今国会での消費増税法案成立を確約したからこそ、野田は「大変有益」という表現を用いたに違いない。

 この合意が、3日の3者再会談と4日の内閣改造につながった。一方、1日には自民党幹事長・石原伸晃がTBS情報番組で「首相は(解散するとは)絶対に言わない。言った時点で首相は力を失う。あうんの呼吸しかない」と明言し、総裁・谷垣禎一が掲げる衆院解散要求を取り下げた。

解散と分裂回避が会談の最重要ポイント

 野田、小沢、輿石会談が先月30日に行われることは、輿石が28日の記者会見で発表した。この3者会談は実は前週の25日にセットされていた。国会日程が固まっていなかったために公表がずれ込んだが、3者会談の設定と同時に3者会談の翌日か翌々日、つまり31日か6月1日に野田と輿石が会うことも合わせて決まっていた。小沢の本音を探った上で、その後の政局の組み立てを話し合う段取りを整えた。

 野田と輿石は会談終了後、内容について一切説明しなかった。輿石は記者団に「コメントしない」とだけ語り、口を固く結んだ。2回の3者会談の後、3者がそれぞれテレビカメラの前で内容を紹介したのに、野田と輿石のマスコミ対応は異様だった。3者再会談決定も国会内の幹事長室で壁耳で聞こえたので、ようやく報道できた。2人がこれほどかたくなだったのはぶら下がりや記者会見を行うことで、記者に真実を気取られるのを恐れたに違いない。

 輿石の基本原則は前回書いたように「3N(3つのない)。衆院を解散しない、党を分裂させない、法案を採決しない」ことだ。このうち、より重要なのは解散しない、分裂させないことで、この2つが確約されるなら、消費増税法案を採決しても構わないというスタンスだ。

 輿石は1日の会談で野田から、自民党が求める「話し合い解散」には応じないとの言質を取ったに違いない。残るは分裂させないことだ。このことについて、小沢は3日の再会談後、記者団から消費増税法案に反対した場合に袂を分かつのかと聞かれ、こう答えた。

「そんなことは考えていない。私自身が先頭に立って国民に訴え、任された政権だ。民主党政権が国民から期待される政権であることを誰よりも望んでいる」

 小沢は自分から離党しないことを鮮明にした。そうであるならば、小沢らが衆院本会議で反対票を投じても、党執行部が除籍(除名)処分せず、党員資格停止などの処分にとどめるなら、党分裂を回避できることになる。

「きょうは大事なことを言うぞ」―。こう言って5日の常任幹事会に臨んだ輿石は、次のように語った。

「首相と元代表との3者会談で確認したことは2つある。1つは一致結束していこうということ、もう1つは今すぐ総選挙ができる状況でもないし、やる状況でもないということだ」

 輿石は衆院解散と党分裂回避が会談の最重要ポイントだったことを明かした。

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