世界銀行が貧困削減のためにソーシャルメディアに力を入れる訳 ~世界銀行ソーシャルメディア責任者、ジム・ローゼンバーグ氏インタビュー

世界銀行ソーシャルメディア部門責任者、ジム・ローゼンバーグ氏

 近年「ソーシャルグッド」や「社会起業」等をテーマにして開催される国際会議を見たり参加したりして思うことのひとつに、国連機関、国際NGO団体、米国国務省やUSAID(米国国際開発庁)等が、積極的にソーシャルメディアを活用して様々な地球的課題に取り組んでいることがあります。以前に米国赤十字のフェイスブック活用について取り上げたこともありますが、こうした動きが世界的に加速していることを感じざるを得ません。

 開発途上国への開発資金や技術協力の提供を通じて世界から貧困をなくすことをミッションに掲げる世界銀行においてソーシャルメディア部門責任者を務めるジム・ローゼンバーグ(Jim Rosenberg)氏が先週来日した際、インタビューする機会を得ました。

 巨大な公的機関である世界銀行が、今何故ソーシャルメディアを積極的に活用しているのか、直接伺ってみることにしました。

途上国の援助対象者との会話の一部になるということ

 現在世界銀行のツイッターアカウントは、公式アカウントの @worldbank(フォロワー数:約14万人)を筆頭に合計40程度あり、フェイスブック・ページも16万人以上が登録し、毎日数多くの情報が共有されています。

 もはや「いいね」の数やフォロワーの数だけでは驚くに値しないかもしれませんが、職員数合計が1万人以上(出身国172ヵ国)に及ぶ組織において、しかも昨年からは5ヵ国語のマルチ言語で運営しているオペレーションはそれだけでも素晴らしい取り組みであると感じます。更に驚いたことは、ウェブのアクセスの半分以上が途上国からであり、そしてフェイスブック・ページへのアクセスのなんと8割以上が途上国の若者(平均年齢24歳)、しかも都市部在住者で高等教育を受け、開発問題に強く興味を持っている人々が中心である、ということです。

 ローゼンバーグ氏は「今何故世銀がソーシャルメディアに取り組むのか」という問いに対し、迷うことなく以下のように答えました。

「途上国含め世界中の多くの人にとってモバイルやソーシャルメディアへのアクセスが当たり前になった今、地球規模で社会課題解決に取り組む世界銀行のような組織にとって、彼らとの会話の一部になるということはとても大切なのです」

 最近の具体例を伺ったところ、2011年に男女間のジェンダー格差解消を目指した「Think Equal キャンペーン」のことを紹介してくれました。

Think Equal キャンペーンHP

 同キャンペーンでは専用ホームページを立ち上げ、キャンペーン動画、ウェブキャスト、フォトギャラリー、オンライン投票、多言語でのコンテンツ配信、そして「#thinkequal」というツイッターで使用されるハッシュタグを打ち出し、広く対話の試みが行われました。昨年の年次総会前後の短い期間に、このハッシュタグを含んだ投稿は1万6千回近ツイートされ、多くの人からジェンダー問題についてのあるべき姿、解決にむけたアイディアが寄せられました。その後iphone/iPad対応の「Women of the World」と題した世界中の女性のポートレイト500枚を含んだ無料アプリをリリースするなど、ありとあらゆる試みをしていることが分かります。

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