人口減少社会でどうやって成長を実現するのか。女性、高齢者の労働力を活用し、「働ける人は働く社会」を目指すスウェーデンに経産省は学べ!

 急激な円高株安は新たな局面に入りそうな状況で、大変憂慮するところだ。17日のギリシャの総選挙までこの状況が続くと考えると、手をこまねいている時ではないと思うのだが、相変わらず中央銀行の姿勢は曖昧である。

 こうした中で、我が国の経済を取り巻く政治環境はますます厳しい方向へと進んでいる。「社会保障の安定」に名を借りた「財政再建のための増税」にまっしぐらなのは再三指摘してきたが、併せて、成長の議論が残念ながら不十分である。政府は夏に新成長戦略の実施計画として、「日本再生計画」を取りまとめるとしているが、その前提条件について、筆者は若干の疑問を感じた。

 それは、「人口減少社会における経済成長」に関しての基本的な考え方である。日本再生計画は政府全体のとりまとめであるが、経済成長政策をけん引していくのは経済官庁たる経産省である。もちろん、他の経済に関わる府省や経済分析を旨とする内閣府もあるが、経産省における基本スタンスは果たしてどうか。

 かつて、「枝野氏は総理から経産相就任を要請され、『私は人口減少社会での経済成長は難しいと思う』と一度は断った。成長の旗を掲げない初の経産相に違いない」(08年1月8日付朝日新聞)と報じられていたが、人口減少社会における経済成長の是非を、観念的ではない議論で論ずるべきだ、というのが筆者の想いである。

人口減少社会でどのように成長を導くか

 5月31日に開かれた経産省の「第7回産業構造審議会新産業構造部会」がまとめた「産業構造審議会新産業構造部会報告書(案)」では、我が国の経済社会の現状について、「人口減少や少子高齢化による潜在成長率の低下により、我が国はかつてのような高成長を達成することが難しくなっている」として潜在成長力の推移を示している。

 本来、潜在成長率は技術進歩率と労働人口の伸びと資本の伸びの合計値となる。経産省の資料では労働生産性としているので、この場合、技術進歩と資本の伸びを足し合わせたものが労働生産性となる。

 つまり、
潜在成長率=労働生産性の伸び(生産性成長率)+労働人口の伸び(就業者数の変化の影響
となる。

 まず、「労働人口の伸び」については、単純に今のまま、高齢化が進むと考えるのか、それとも、女性の就業(結婚や出産後退職した女性)を促したり、高齢者雇用を促したりすることを考えるかにより、見通しは異なる。おそらく、ここでの違いは0.2%程度ではないかと考えられる。資料にある0.7%の労働人口減というのは相当厳しい見方だと言える。

 つまり、労働生産性の数字は、現在のトレンドがそのまま続くと考えるか否かによって大きく変わってくるのである。

 3月の与党内増税法案議論の時に、潜在成長率についての論争があった。大和総研の中期経済見通しは労働生産性を用いていたが、1.5%~2%前後であった。経産省の見通しとは随分と乖離が生じている。ここから、労働人口の伸びを引くと潜在成長率は1%~1.5%となる。内閣府の慎重ケースで1.1%なので、それよりもほんの少々楽観的な数値でしかない。

 経産省はおそらく世界金融危機を含めたトレンドから労働生産性を判断しているのだろうが、雇用を増やす政策を前提にしないというのは、そもそもの政府の立場としては疑問符が付く。

 「人口減少社会では成長は望めない」との前提に立って、成長率を悲観的推移と見通すのは果たして成長に向けた姿勢としてどうだろうか。もちろん、「産業構造審議会新産業構造部会報告書(案)」では、成長3分野における需要を掘り起こしの場合には1.2%の実質成長率を試算していることは承知しているが、筆者が指摘したいのは、「人口減少社会でどのように成長を導くか」ということだ。

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