前回のアンケートで、多くの方が、
「今の仕事をしていても将来安泰とは思えない」
「でもどうすればいいかわからない」
と感じている現実が明らかになりました。
なぜそう感じるのか?
わたしは、その原因を「今の努力が将来に活きるかどうかわからないという不安の表れ」だと考えています。というのは、それまでのスキル・知識を活かして別の会社・業種に就くことができると分かっていたら、何も不安は感じないはずだからです。
前回の記事でもお伝えしたように、「賞味期限が長い資産」を創ることは、非常に重要です。その資産がみなさんの給料のベースを引き上げ、その日に全力でジャンプしなくても、高いところに手が届くようにしてくれるのです。
ただしもちろん、この賞味期限が長い資産を創るのは簡単ではありません。というより、簡単に身につけられるようなスキル・知識は、誰でも簡単に習得できるのでそれほど高い評価も得られず、陳腐化するのも早いのです。
給料の決まり方(第2回目)を思い出してください。私たちの給料は、「労働者が明日も働くために必要なものの合計」です。つまり、明日も同じ能力を発揮する労働者をゼロから作り上げるのにどれくらいのコストがかかるのか、です。
これには労働者の食費・家賃・衣料費などが含まれます。同時に、その仕事をするために必要な能力を身につけるためのトレーニング費も含まれます。
つまりこういうことです。
みなさんの代わりに明日、新しく社員(Aさんとしましょう)を採用したら、そのAさんが、みなさんと同じスキル・知識を身につけるのに企業がトレーニングをしなければいけません。そのトレーニング費も「労働力の再生産コスト」となるのです。
そのため、みなさんが「習得しづらいスキル・知識」を身につけていればいるほど、「再生産コストが高くなる」、つまり給料が高くなるのです。
そうは言っても、「習得しづらい知識・スキル」を身につけるのは簡単なことではありません。そのため、多くの人が途中であきらめてしまいます。
みなさんにひとつ紹介したいエピソードがあります。
『金持ち父さん 貧乏父さん』で、著者のロバート・キヨサキ氏の実の父として描写されている「貧乏父さん」はエリートサラリーマンでした。そして、引退するまでの給料所得は非常に高かったようです。しかし、「貧乏父さん」になってしまったのです。
なぜか?
それは自分が働くことでしかお金を稼げなかったからです。ここが、資産を築いて、その資産に働かせた「金持ち父さん」とは決定的に違ったのです。
さらにここで、もう一つ興味深い描写がありました。
「金持ち父さんは、引退する歳まで、『金持ち』ではなかった」
というのです。つまり、即座にお金持ちになったわけではなかったのです。
「金持ち父さん」は長い間、資産を築くために働きました。しかし実際に「金持ち」になるまでには長い時間がかかったわけです。ただし、金持ちになってからは急激に、しかも自分であくせく身体を動かさなくてもお金が入ってきました。
このエピソードを読んでどんなことを感じたでしょうか?
「継続は力なりだよな」
「金持ち父さんは、『目の付けどころ』がよかったよな」
「そうは言っても、誰でもうまくいくわけじゃないでしょ」
様々な感想があると思います。もちろん、「金持ち父さん」の方法を万人がマネできるとは思いません。しかし、せっかくなので「金持ち父さん」から学べるものを探してみましょう。
わたしは、こう見ました。
この2人の違いを端的に表現すると、「働き方」をPLで捉えていたか、BSで捉えていたかの違いだと感じたのです。