悲しき政権交代---政権公約を破るなら、まずは国民に信を問うべきだ!
住宅地と隣接する普天間基地〔PHOTO〕gettyimages

 6月1日から沖縄県議会選挙が始まった。私も初日に沖縄に入り、わが党の推薦候補の応援に走り回った。本土復帰から40年目になるが、今なお県民所得は低く、未解決の問題が山積している。

 日本の米軍基地の4分の3が沖縄にある。そのことの重みを全国民が認識する必要があるし、また同時に日米安保の重要性を忘れてはならない。それは、北朝鮮の軍事的脅威、そして最近の中国の軍拡を考えればよくわかる。

 基地の危険性と隣り合わせに生活する人々の苦労にも、全国民が想像力を働かせねばならない。町の真ん中にある普天間基地の危険性は、現地に行ってみれば、誰もが実感できる。だから、普天間基地の移設が需要課題だったのであり、自民党政権は16年間かけて辺野古への移転にまで漕ぎ着けた。

 それが、鳩山由起夫氏の「最低でも県外」発言で、白紙に戻ってしまった。16年の歳月を無駄にしてしまったのであり、辺野古という選択肢を唱える政党は、今回の県議選でも、もはやいない。皮肉なことに普天間は争点にならない選挙となってしまった。

 ところが、鳩山政権の後を継いだ菅政権は、あっさりと辺野古へと回帰してしまった。このいい加減さには呆れかえる。政権交代とは何だったのか。沖縄の自民党ですら、もはや辺野古を選択肢から除外しているのに、何という無神経な政策転換か。しかも、本土復帰40周年の式典に、鳩山元首相が参列するという無神経と恥の上塗りをしてしまった。

 7月にはオスプレイが配備される。安全性や騒音が懸念されている。老朽化した普天間基地の修理改善が行われるようになると、普天間の固定化が現実味を帯びてくる。政治とは可能性の技術である。そして、統治するとは選択することである。選択するとは、政策に優先順位をつけることでもある。

 外敵に侵略されれば、日本は滅ぶ。日本国民の生命と財産、そして国土を守ることこそ、政治の最重要課題である。その基本が分かっていない政治家が政権を担っているところに、日本の悲劇がある。

 国民に約束したことは守らねばならない。政党が掲げる公約を信じて、国民は政権をその党に託す。「最低でも県外」なら、そうしてもらうのは当然である。なぜ、急に辺野古移設に回帰するのか。その理由をきちんと国民に説明し、納得してもらったのか。少なくとも沖縄県民は、自民党や公明党の支持者を含めて、納得していない。普天間の固定化という最悪の結果になるならば、民主党政権や鳩山元首相は万死に値する。

何のための政権交代だったのか

 このような変節は、普天間問題に限らない。消費税増税もそうである。行政の無駄の排除で財源を生み出し、消費税は増税しないということではなかったのか。いつ、どういう理由で国民との約束を反故にしたのか。消費税増税がないことを信じて民主党に投票した有権者にどう説明するのか。少なくとも公約の重みについての認識は、野田首相よりも小沢一郎氏のほうが正鵠を得ている。

 それに、今のようなデフレ下で消費税増税は愚行である。個人消費は、日本のGDP約500兆円の6割を占める。消費がこれ以上冷え込めば、日本経済はさらに失速する。成長戦略、そしてその工程表もないまま、消費税増税を断行するのは問題である。

 小沢氏との会談が、予想通り物別れに終わると、野田首相は問責を受けた2大臣の更迭を含む内閣改造に踏み切った。要するに、小沢の反乱で失う勢力を自民党との協力で補おうという腹である。しかし、これもまた有権者を馬鹿にした話である。公約を破るなら、まずは国民に信を問うのが先である。

 また、自民党の中に無条件大連立論を唱える者もいるが、それは、なりふり構わず政権に戻りたいという政権亡者の考えである。自民党が消費税増税を訴えてきたのだから、変節した民主党と手を組むのは当然だというのなら、まさに何のための政権交代だったのか。

 自民党の政権公約に書いてあるのは、「経済成長戦略とムダ削減の不断の努力を行いつつ、消費税の税率を引き上げます」ということである。そして、消費税率についても、「当面10%とすることとし、政権復帰時点で国民の理解を得ながら決定するものとします」と明記してある。

 民主党も自民党も、これ以上政治の信頼を失墜させるべきではなかろう。

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