混迷するコンプガチャ問題の真相 ~福嶋浩彦消費者庁長官に聞く

 オンラインゲームで大流行の兆しをみせ、ゲーム各社の収益の大黒柱に成長しつつあった「コンプリートガチャ」商法について、景品表示法違反に当たるとした消費者庁の判断に対する評価が真っ二つに割れている。

 子供や未成年を浪費から守るために避けられない措置だったという肯定的な声が多い一方で、グリーやディー・エヌ・エー(DeNA)などソーシャルゲーム関連各社の株価の急落を招いたことに対して「新興産業の成長力を奪うつもりか」と市場関係者から憤りの声をあがっているほか、違法行為と決め付けながら、その判断・運用基準をパブリックコメントに付すという後出しジャンケン紛いの同庁の手続きに「法治国家と言えるのか」と疑義を呈する司法関係者も後を絶たない。

 いったい、なぜ、消費者庁は、このような不可解な騒ぎを引き起こしたのだろうか。この疑問を解き明かすため、渦中の福嶋浩彦消費者庁長官にインタビューを試みた。一問一答は以下の通り。

今回の手続きは丁寧な措置だと考えている

問) 消費者庁として、一連の問題を把握した経緯は。

答) 「全国の消費者からの相談・苦情件数は、2010年が5件、2011年度が58件、今年度が77件と増えてきた。4半期ごとの内訳をみると、2011年度の58件は、その多くが1-3月に集中している。つまり、今年に入ってトラブルが急増したというのが実情だ。

 相談・苦情の中身は、射幸心を煽られて子供が夢中になってしまい、多額の請求を受けたというものが多かった。中には何十万円もの請求を受けたという相談もあった。これは、消費者庁として放置できない案件だと強い問題意識を持つようになった」

問) どういう対応をしたのか。

答) 「まず、5月18日付で、現行の景品表示法上で禁止されている『カード合わせ』に関する法解釈を明示した。この『カード合わせ』に、『コンプリートガチャ』が該当しており、違法行為であるということを明確にしたのだ。

 そのうえで、懸賞による景品の提供に関する景表法の運用基準の改正案を示して、パブリックコメントに付すことにした。パブコメの結果を踏まえ、7月1日からこの基準を適用する。

 もとはといえば、おまけに付くカードで釣ってお菓子を買ってもらう商法を制限するために設けられたのが、この景品表示法の規定だ。時代が変わり、ネットのサイバー空間で行われている問題に適用しようというのだから、現在行われているものの違法性をきちんと指摘して注意喚起をしたうえで適用する。こうした今回の手続きは、丁寧な措置だと我々は考えている」

問) とはいえ、混乱も目立った。松原内閣府特命担当大臣が5月8日の記者会見で「景表法の規制が明確に及ぶ運用基準等も存在しておりません」と述べ、消費者庁が現行法での処分も辞さない構えだという新聞報道を真っ向から否定したにもかかわらず、規制報道が収まらず、市場の不安心理を掻き立てた印象が拭えない。

答) 「市場のことはコメントする立場にないが、大臣の発言主旨は、ネット上の『カード合わせ』に景表法に基づく措置をとった前例はないとうことだ。

 実際のところ、消費者庁としては、きちんと景表法の解釈をまとめて示して注意喚起をしようという作業の真っ最中だった。

 できれば、新聞報道の翌日には、消費者庁としての対応が公表できればベストだっただろうが・・・。(町田さんも)新聞記者出身なのでおわかりのように、新聞は、取材したことを少しでも早く報道しようとするもの。それゆえ、今回は、タイミングがあわなかった」

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