ゴルフ
遼、タイガー、ニクラス---それぞれの「必要なときに必要なこと」
この優勝でタイガーはジャック・ニクラスの通算73勝の記録に並んだ(写真/中島望)

文/舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

石川遼の大きな一歩

 ジャック・ニクラスがホストを務める米ツアーの大会、メモリアル・トーナメントはタイガー・ウッズの逆転優勝で幕を閉じた。

 今季、アーノルド・パーマー招待に続く2勝目。そして、通算73勝目はニクラスの記録に並んだ。

 石川遼は5位タイから最終日をスタートし、スコアを1つ落として9位タイに順位を下げたが、「初出場の選手は予選落ち」が定番と言えるほどの難コース、ミュアフィールドビレッジで、強豪選手揃いの中、トップ10入りを遂げた評価は高い。

 米ツアーの来季出場権獲得を目指す5連戦の2試合目。初戦のクラウンプラザ招待は予選落ちだったが、今週、一転して好結果を出した。

 これまで石川はスイング最優先で試合に臨んできたが、今週は開幕前からコースマネジメント重視でプレーする決意を示し、4日間、その決意を実行し続けた。

 スイングよりコースマネジメント。その戦い方は石川にとって「生まれて初めてでした」。

 なぜスイング重視からコースマネジメント重視に切り替えたら、いい結果が得られたのか。

「ミスしても、悪いスイングをいいスイングに変えようという作業はしなかった。気持ちを整理して次のショットへ淡々とやれた。こんなにできるとは思わなかった」。

 戦いそのものに集中できたからこそ、戦えたのである。

 思えば、惨敗を喫した今年のマスターズでは、初日の第1打で「練習場と同じスイングができなかった」と感じたことで最初から崩れ、立て直すことができずに終わった。

 そもそも試合中に練習場と同じスイングを目指すこと自体に無理がある。ましてや、マスターズのときのように練習場と同じスイングができなかったという思いが石川自身の心とゴルフを乱すようでは百害あって一利なし。

 だが、石川には石川なりの考えがある。彼は自分と他選手との間のスキルレベルの差は多大だと感じている。「アイアンの球が低くてグリーンで止まらない」「僕のゴルフは全部が普通、全部が下手。これだけは負けないと自信が持てるものを持ってない」と痛感している。

 だから、コースマネジメントを重視する前にスイングをしっかり固め、技量そのものの向上を図るのが自分にとっては先決。まだ自分はそういう段階。そう考えていたからこそ、スイング最優先でプレーしてきたのだと石川は言った。

 それゆえ、コースマネジメント重視で挑んだ今週は「冒険だった。やって良かった」。けれど「スイング重視の週も(今後)来ると思う」。

 あるときはスイング重視。あるときはコースマネジメント重視。「必要なときに必要なことを」が石川の新たなる決意。

「幅が広がった。大きな一歩だった」

 その通り、今週の石川が進めた歩幅は大きく広かった。

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