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衝撃のレポート 敗北!さらば、ジャパニーズ・テレビ「日本のお家芸」は、作るほどに赤字を生むシロモノと化した!

 シャープ台湾ブランド「鴻海」が筆頭株主に東芝国内生産から撤退ソニー&パナソニック有機EL連合に賭ける・・・韓国勢に叩きのめされた各メーカーに「復活」はあるのか

シャープが国内最大80インチ型のアクオスを発表。同社は超大型テレビこそ生き残りのカギと言うのだが

 今さら説明するまでもないことだが、世界の薄型テレビ市場のシェアは、1位がサムスン電子、2位がLG電子で韓国メーカー2社が首位を独走している。サムスンに至っては、7年連続の1位だ(GfK、NPD調べ)。ジャパニーズ・テレビは大袈裟でなく存亡の危機にある。国際金融・投資情報会社「ジャパンエコノミックパルス」の上坂郁副社長は、日本の惨状に手厳しく、こう斬った。

「韓国は、サムスンのテレビをいかに売るか、日本の電機・半導体メーカーにいかに打ち勝つかを、国策として取り組んでいるんですよ。日本の市場を見れば、経済産業省の傘下にある『産業革新機構』が出資して、ソニー、東芝、日立の液晶事業を統合し、『ジャパンディスプレイ』なんていうシャープのライバル会社を作って、国が限られたパイの奪い合いを後押ししています。ムチャクチャですよ。

 歴史的な円高、世界一高い法人税、電力不足・・・・・・。これは一企業の努力で何とかなるものではない。日本は、ものづくりができる状況にありません」

 かつて「日本のお家芸」と称されたテレビ事業は、今や各社の赤字を生み出す足枷となった。苦境を脱しようとする彼らの取り組みは、「秘策」なのか「悪あがき」なのか---。

ケース1 シャープ

 シャープ(大阪市)が「20世紀に、置いてゆくもの。21世紀に、持ってゆくもの。」のコピーとともに、ブラウン管ではなく液晶テレビで勝負する決意を女優・吉永小百合を起用したCMを通じて表明したのは、’00年1月1日のことだった。事実、〝亀山モデル〟という生産工場をブランド化するマーケティングは当たり、AQUOSは国内のシェアで堂々1位を誇るまでに成長した。

 日本ではあまりお目にかからない韓国ブランドが世界で普及しているのは、その液晶パネルの技術力に差がなくなったことが大きい。「部品を集めてくれば、誰でも同じものが作れるようになった」(AV評論家の川田宏之氏)から、人件費の安い韓国や中国で作られたパネルで満足できる以上、価格の安い韓国勢のテレビのほうが国際競争力を持つわけだ。シャープ東京広報グループの若松衛副参事は、次のような本音を明かした。

「かつて、真っ先に液晶に取り組んだ弊社のAQUOSはステータスであり、名の通ったメーカーのテレビでなくてはリビングに置けないという感覚がありました。弊社も含め、日本のメーカーは、『日本のお客様は日本の製品が好き』と過信した面があるかと思います。スマホの例が顕著ですが、サムスンの『GALAXY』が入ってきた当初、韓国製品に対する油断があったかと思いますが、今や人気上位のモデルです」

 若松氏の説明によれば、シャープの戦略ははっきりしていて「60インチ以上の大型テレビに活路を見出す」である。その拠点となるのが、堺工場(大阪府堺市)だ。ここでは世界で唯一、2880mm×3130mm、畳5畳サイズの「第10世代ガラス基盤」を作っている。

「そのガラス基板から60型のパネルが8枚取れます。40型ですと18枚です。一見すると、40型を大量に作ったほうが効率が良さそうに見えますが、そのサイズであれば韓国メーカーをはじめ、他社が作れてしまう。堺でしか作れないサイズを活かし、差別化を図るには60型に特化する必要があるのです」(若松氏)

 前出の川田氏も、このように裏付ける。

「サムスン、LGは第8世代と呼ばれる畳3畳大のガラスしか作れないので、60型に限れば、日本でも海外でもシャープの独壇場なのです」

 そのシャープが3月、台湾の鴻海精密工業と資本・業務提携し、堺工場で液晶パネルを共同生産すると発表した。鴻海は電子機器の生産を請け負うEMS(電子機器受託製造サービス)の世界最大手で、グループ全体で計約1300億円をシャープに出資し、筆頭株主になる。また、シャープのパネル工場の生産量の半数を引き取るともいい、下請けがメーカーの窮地に手を差し伸べた形だ。家電業界に詳しいノンフィクション作家の立石泰則氏は、「地デジへの移行期が終わり、急に売れなくなったパネルが山のように溜まり、どこかに引き取ってもらいたいと必死になった結果」と厳しい分析をする。川田氏もこう見る。

「下請けとして、さまざまなブランドのテレビを手掛けている鴻海は、これから増えるであろう大型テレビの受注を睨み、シャープの生産ラインが欲しかったのでしょう。シャープにしても、工場の稼働率が半分に下がっていて、いくら大型の60型以上では有利とはいえ、背に腹は代えられなかったのでしょう」

 立石氏はシャープの打開策は、大型テレビにあると見ていない。同氏が語る。

「日本は映像技術に関しては世界トップレベルで、テレビカメラで撮って電気信号で送ると映像が劣化しますが、それを撮影時と同じ映像に戻す技術、絵作りの技術が優れています。デバイス(液晶パネル)のイノベーションは一定程度終わっている。少し時間が経てば、どのメーカーでも同様のパネルができてしまう。シャープの片山幹雄会長は『32インチが3万円で売られるのではやっていられない。60インチを作るんだ』と掛け声をかけましたが、そこは『シャープは4K(高精細)テレビで行くんだ』と声を出さなくてはいけません」

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