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それはある朝、突然やってくる 銀行「取り付け騒ぎ→預金封鎖」に備えよこれは悪夢でなく、現実だ
ギリシャ→スペイン→イタリア、そして日本へ
世界金融恐慌が始まった

 昭和2年、日本では蔵相の失言を契機に取り付け騒ぎが発生、銀行が多数破綻する金融恐慌になった。些細なことでも、不安が人々を銀行に走らせる。たとえばそれが遠く異国の、小さなパニックでも。

ギリシャのデフォルト

「これから世界経済、日本経済がどうなっていくか。それはひとえに、ギリシャのデフォルト(債務不履行)がどのような形で起こるかにかかっている。もしギリシャでコントロールされないデフォルトが起これば、世界経済はリセッション(不況)に入り、日本経済にも巨大なインパクトとなるだろう。(リーマン・ショックのあった)2008年後と同じくらい経済が悪くなるかもしれない。そんな最悪のシナリオがありえる状況になってきた」(ニューヨーク州立大客員教授などを歴任した知日派ジャーナリストのリチャード・カッツ氏)

「いま我々はグレイト・デプレッション(大恐慌)に入ってしまった。世界が繁栄していると思っていたのは実はバブルに過ぎず、過剰になった負債がクラッシュしたことで恐慌へ突入してしまった。最悪のシナリオは1930年代の大恐慌の完全な繰り返しである。ファシズムが台頭し、政治対立が生まれる状態だ。不況が10年も20年も続くことになるだろう」(ウェスタンシドニー大学教授のスティーブ・キーン氏)

 ヨーロッパの小国の危機が、遠く日本にまで恐慌をもたらす事態が目の前に迫ってきた。

 一時は沈静化していた欧州の国債不安が再炎上したことで世界同時株安が発生、日経平均株価が8400円台まで急落し、円相場もあっという間に80円割れしたのは周知のこと。やっと体勢を立て直した製造業は円高ショックに再びの悲鳴をあげ、家計も消費意欲を減退させる不況ムードが列島全土を襲っている。

 ただ、いまはまだ序章。経済危機が本格化するのは「これから」というのが経済のプロたちの共通見解だ。

 実はこの5月に日本をパニックが襲うことを経済専門家たちはわかっていた上、6月にさらなる危機が来るとまで言及していた。しかもそのシナリオが、〝日本の中枢〟でひそかに語られていたのだから恐ろしい。

現金引き出しに制限が

 東京・霞が関の財務省。その日、省内の第3特別会議室では「国債投資家懇談会」が開催されていた。同会議は金融のプロ中のプロたちが集合、財務省職員らと膝を突き合わせて今後の国債をめぐる国内外の経済情勢を話し合う〝インナーサークル〟である。

 さかのぼること約2ヵ月前、3月16日の会合では次のような発言が飛び出していたのだ。「欧州の問題は一旦終息しつつあるが、根本的な問題は解決していない。4月以降もその点は注視していく必要がある」