井上久男「ニュースの深層」
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「知名度」や「肩書き」を盲信してはいけない! これから読者や視聴者に求められるのは、情報を「選ぶ力」だ

2012年06月03日(日) 井上 久男
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 週刊現代6月2日号のコラム「ジャーナリストの目」で、青木理氏が書いた「CMに喜んで出演する『評論家』や『有識者』 彼らには恥も外聞もないのか」が目を引いた。

 青木氏の記事は、メディアのことを知らない人が読んでも分かりやすくまとめられ、今のメディアの「病巣」の一部を浮き彫りにしている点でも秀逸で、筆者が問題提起しようと思っていたことと近い。

 そのコラムの内容を要約すると、こうなる。

 電力会社のCMに出ていた経済評論家が討論番組で「放射性物質が実際より怖いと思われていることに問題がある」と発言したり、その評論家がメーカーからタダで提供された電気自動車に乗って体験PRを書いたりしていることを事例に挙げ、こういう人は「評論家」ではなく「宣伝屋」だと思うと記している。この評論家だけではなく、ニュースキャスターがCMに出る話などを例示し、公正な立場で事実を伝え、論評すべきジャーナリストや評論家がCM出演で利益を売るのは、「利益相反」に近いのではないかとも断じている。

 「宣伝屋」として使われる方にも問題があるが、そうした人材を安易に起用する広告代理店やスポンサー企業の考えの方が大きな問題で、「記事」と「広告」の見境がつかなくなり始めていることを象徴している事例の一つではないかと筆者は思う。

 現に最終消費財を扱う企業の中には、カリスマブロガーに金を渡して、自社製品をPRしてもらっているところもあるという。これも時代にマッチした立派な宣伝戦略と言われればそれまでだが、そのブロガーは企業からお金をもらっていることを読者に開示してブログを書いているわけではない。そのブロガーが書いている内容に客観性が担保されているのかは疑わしいと言わざるを得ない。

 特に核家族化により、赤ちゃんの育て方をよく知らない若いお母さんが増えており、こうしたユーザー向けに育児のプロがブログを書けば関連商品の人気が高まると聞いたことがある。育児関連の消費財を作るメーカーが陰でその育児のカリスマブロガーに広告費を渡せば、そのブロガーは製品の使い勝手などの商品性を是々非々で論じることはおそらくできないだろう。

 そもそも個人の感想や意見であるブログに客観性を担保する必要性があるのかという見方もあろうが、多くの読者は一般的にカリスマブロガーが書けば、その内容を信じ、共感を持ってしまう。そこが企業の狙い目でもある。

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