「給付付き税額控除」こそが公平な低所得者対策であり、「歳入庁の創設」こそが真の霞が関改革である
馬淵 澄夫

 先週水曜日、「社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」集中審議で質疑の機会を得た。与党の一員とはいえ増税に対しては慎重派である筆者に、質疑の機会など到底ないと思っていたので思わず「いいんですか!?」と問いただしたくらいだ。国対筋である鉢呂筆頭理事からならば当然としても、藤井裕久税制調査会長から直接の依頼があったことも驚きの一つであった。

 与党議員として、あまりにも野党的な質疑をするわけにもいかない。しかし、慎重派、中間派を自認する立場で、言うべきことをしっかりと政権に伝える必要もある。悩みながらの承諾ではあったが、40分間の短い時間を使ってかねてからの主張と併せて税の課題についてフルに質疑をしようと決意した。

 詳しい内容はアーカイブをご覧いただければありがたいのだが、論点は二つ。

 一つは、附則18条の弾力条項の歴史的経緯と、経済の好転状況の確認の意義、並びにデフレ脱却の不十分さを克服するための日銀法改正の是非。二つ目は、野党が修正を迫る軽減税率を巡る低所得者対策の骨抜き、並びに「歳入庁つぶし」の裏の思惑についてであった。

 日銀法改正にまで連なる弾力条項については相当程度、ここでも考えを示しているので、本コラムでは、質疑の時に時間が足りなかった歳入庁つぶしにつながる軽減税率の問題点について触れておきたい。

低所得者に対しては確実に逆進性対策が実施される

 軽減税率とは、食品など生活必需品についての消費税率を下げる制度のことである。野党は、低所得者対策としてわかりやすいとの理由から、食品などの税率軽減を訴えている。

 世界の消費税に類する税制(付加価値税:VAT)を見てみると、軽減税率を採用している事例はままある。英国などは食品については「ゼロ税率」を採用しているし、米国においても州によっては食料品、アンダーウェアーなどの衣類、医薬品を無税にするなどの軽減税率が採用されている。軽減税率は一見、日々の暮らしに追われる低所得者対策のようにも見えるし、イメージとして「サイフにやさしい」税制ととらえられがちだ。

 一方、民主党がかねてより主張し続け、また政府案7条1号にも盛り込まれた「給付付き税額控除」はそのネーミングのわかりにくさもあってか、あまり理解が進んでいない。これは、税額控除とそもそも税を払う必要のない低所得者には給付を行うという制度であり、低所得者に対しては確実に逆進性対策が実施される方法である。

 所得控除形式や給付の付かない税額控除形式に比べ、累進性を強化することが可能であり、設計の仕方によっては、就労インセンティブの向上も可能だ。ただし、一方で給付付き税額控除は、公平な給付のためには、包括的かつ正確な所得捕捉が必要になるなど、その導入には決して容易ではない課題もある。

そこで、政府案では、マイナンバー制度(法案では「番号制度」)の導入と、さらには歳入庁の創設による税と社会保険料の一体徴収体制の構築についての本格的作業の推進が定められているのだ。

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