「給付付き税額控除」こそが公平な低所得者対策であり、「歳入庁の創設」こそが真の霞が関改革である

2012年05月30日(水) 馬淵 澄夫
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そこで、政府案では、マイナンバー制度(法案では「番号制度」)の導入と、さらには歳入庁の創設による税と社会保険料の一体徴収体制の構築についての本格的作業の推進が定められているのだ。

軽減税率を導入したら最後、修正は不可能

 さて、上述したように、こうした状況下で野党は軽減税率を打ち出そうとしているが、そもそも軽減税率が低所得者対策には実はならないということは、海外事例からも明らかであり、財務省もそのことはよく知っているのである。

 昨年の9月8日に、財務省で財政制度審議会の分科会が開かれている。

財政制度分科会議事録(平成23年9月8日)
日本の再成長に向けた見通しと戦略(2011年9月8日)

 そこでは、IMFのMichael Keen財政局 シニア・アドバイザーから、軽減税率と給付付き税額控除についてプレゼンテーションが行われ、次のように説明されている。

「消費税は累進的ではないが、(1) 税と給付の制度全体における累進性を問題とすべきであり、(2) 異なる税率を導入することによる効果は極めて限定的なものにしか過ぎない」

 さらに、

「他の地域における事例から得られる主要な教訓は、公平性という目的を達成するためには複数税率を用いるよりも良い方法があるということ、そして、過ちを犯すと修正するのは困難だということである」

 この指摘を次の図表で確認してみる。

図1:日本における軽減税率導入試算(財務省財政制度分科会より)

 

 これは、例えば食品について見るならば、食品に支出される割合は所得グループ間であまり差がないということを示している。ちなみに、選択肢①は15%の単一税率、選択肢②は食品を10%に軽減し他を17%、選択肢③は食品を5%に軽減し他を18%とした場合の試算である。

次ページ  この図からも明らかなように、…
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