企業倒産が相次ぐベトナムでいったい何が起きているのか

アジア360°(シンガポール)より VIETNAM

2012年06月18日(月)
ホーチミン〔PHOTO〕gettyimages

 インフレの高進によって経済成長に水を差されたベトナム。政府の失策が、その傷口をさらに広げる形になっている。

 ベトナムでは今年、廃業する会社が急増している。第1四半期の全国の倒産件数は、前年同期を60%上回る2200社。さらに数千の会社が破産申請が受理されるのを待っている。ホーチミンだけでも、前年の4倍にあたる5000社が破産申請の手続きを行っているという。

 このままでは失業率が上昇し、景気悪化に苦しむベトナムの社会経済にさらに大きな影響を与えることになりかねない。ベトナムが今年目標としているGDP成長率6・0~6・5%の達成にも暗雲が立ち込めている。

 相次ぐ倒産の原因となっているのは、インフレに対処するため、ベトナム政府が打ち出した金融引き締め政策だ。限界まで引き上げられた金利が、企業を苦しめているのだ。

 2011年、ベトナムでは政策金利が年平均で17%と、異常な高さになった。ピークは8月の23%で、その後は段階的に引き下げられ、今年4月には12%まで下がった。だが、企業の支出に占める利子返済のためのコストの比率は以前の2・9%から3・6%にまで増大し、多くの企業が返済に苦しむ事態に陥った。結果的に、小規模な企業はひとたまりもなく潰れ、大企業も大きなダメージを被ったのだ。専門家からは、金利引き下げのタイミングが遅すぎたと、政府の対応を批判する声も出ている。

アジア360°(シンガポール)より

 とくに影響を受けているのは不動産や重工業分野だ。たとえば、シティグループやドイツ銀行が出資するある不動産大手では、純利益が前年比で9割近く減少することが予想されている。また、内需の縮小により、重工業製品の卸売り在庫は、第1四半期だけで31%も増えたという。

 だが、それでもベトナム政府は比較的楽観的に構えている。ある政府関係者は、今年4月にスタートするインフラ事業が多いことから、資材関連の在庫は一掃することができるはずだと話す。政府は、納税期限の先延ばしや減税も検討しており、これが実施されれば企業の苦しい台所事情を救うことができるというのだ。

「COURRiER Japon」7月号より

 

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