[プロ野球]
佐野慈紀「統一球はレベルアップのチャンス!」

スポーツコミュニケーションズ

見せてほしいプロの技

 私が考えるに、ホームランとはやはり特別なものなのです。その特別なことができるバッターこそが一流であり、その一流になるには、きちんとした技術の習得が必要なのです。そういう意味で、統一球の採用は日本プロ野球界にとって技を磨くチャンスと言えるのではないでしょうか。

 実際、統一球が採用されて以降、全体的にバッターの打球はゴロが増えると同時に、“完璧な”ホームランが増えたように感じています。2010年以前のように、「えっ!? この打球がホームランになってしまうの?」というようなホームランはほとんどありません。それは“飛ばないボール”だからこそ、きちんとバットの真芯でとらえなければ、ホームランにはならないからです。

 近年、プロ野球の球場は広くなり、それに対応して反発力のあるボールが採用されてきた傾向にありました。実際、ホームランは増え、大味で派手な試合が多く見られました。しかし、一方で、ボールが簡単に飛ぶことで、バッターの技術が磨かれてこなかったという一面も否定できません。“飛ばないボール”の採用後、ホームラン数が減ったことがその何よりの証拠です。

 昨季の中村剛也(埼玉西武)しかり、前述した中村紀や山崎武司(中日)しかり、きちんと芯でとらえる技術さえあれば、ホームランバッターはホームランが打てますし、年齢など関係なく、遠くへ飛ばすことができるのです。つまり、打てないということは、バッティングの原点である「芯でとらえる技術」が不足しているということなのです。強い打球を打とうとするあまり、スイングの速さへの意識が強くなり、最も重要であるはずの芯に当てる技術がないがしろにされてきたのではないでしょうか。

 もともと統一球はプロ野球の国際化に伴い、国際試合でスムーズに対応することができるようにということから採用されました。にもかかわらず、たった1年ちょっとやっただけで「飛ばないから元に戻してくれ」では、あまりにもプロ野球選手として情けないのではないでしょうか。飛ばないのであれば、飛ばせられるように、自らの技を磨きあげるべきであり、それこそプロとしての技の見せどころだと思うのです。

佐野慈紀(さの しげき)プロフィール>
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商-近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日-エルマイラ・パイオニアーズ(米独 立)-ロサンジェルス・ドジャース-メキシコシティ(メキシカンリーグ)-エルマイラ・パイオニアーズ-オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6 球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。