民間企業へのリスクマネーは国家が提供すべき! 海洋資源確保は国家の長期戦略でなければならない。
2009年4月、中国海軍創設60周年の国際観艦式では国産原潜も公開された〔PHOTO〕gettyimages

 5月25,26日の両日、沖縄県名護市で、第6回太平洋・島サミット(PALM6)が開かれた。日本が音頭を取って、太平洋の13の島嶼国・地域が参加した。今回は、初めてアメリカも参加したが、中国に遠慮するフィジーは欠席した。

 この国際会議の陰の主役は中国である。中国は、近年、なりふり構わず軍事力を強化しているが、とりわけ海軍力の拡張には目を見張るものがある。1996年台湾初の総統選挙に際して、李登輝の優勢が報じられると、中国は台湾近海でミサイル演習を行い、圧力をかけた。

 しかし、アメリカ第七艦隊は空母などを急派して牽制した。このときの経験から、中国は潜水艦の増強、空母などの建艦を進め、アメリカの圧力に屈しないで、台湾を「武力解放」できる体制を整えようとしている。

中国包囲網という政治的意味

 第二次大戦後の世界は、軍事的には米ソ対立が軸であったが、冷戦が終焉し、ソ連がロシアとなって総体的に弱体化した今日、世界、特に太平洋はアメリカと中国のせめぎ合いの場となりつつある。中国は、第一列島線、第二列島線を定め、着々と太平洋への進出を図り、遠距離介入能力を向上させている。

 そして、それは単に自国の安全保障のためのみではなく、将来を見据えた資源確保戦略のためでもある。15億人という人口をかかえる中国にとって、食料やエネルギー資源の確保は重要な政策である。魚などの豊富な漁業資源を確保するために、世界中の海に中国の漁船が進出している。そして、海底に眠る鉱物資源の開発にも力をいれている。

 日本近海にも豊富な鉱物資源がある。たとえば、「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートは、東部南海トラフ海域で日本の天然ガス消費量の13~14年分、日本近海で100年分は存在すると言われている。また、地中の金属元素を溶かした高温度熱水が海底で噴き出し、金、銀、銅、亜鉛やレアメタルなどが沈殿して形成される海底熱水鉱床も注目に値する。

 また、コバルト・リッチ・クラストも存在し、コバルトなどのレアメタルが含まれている。このような資源を求めて、中国や韓国は、いちはやく太平洋の島々に進出している。今回、フィジーが太平洋・島サミットに欠席したのは、関係を深めている中国に遠慮したからである。

 資源の探査・開発についてのみならず、もし中国がフィジーに海軍基地を設けることになれば、日本、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドにとって、安全保障上、由々しい事態になる。南太平洋は、台湾の影響力が強い地域であったが、中国が巻き返しを図っているのが現状である。

 このような現実を前にして、PALM6では、「沖縄キズナ宣言」をまとめ、国連海洋法条約の重要性を確認し、海洋安保や漁業管理などの分野での協力を約束した。また自然災害対応についての協力拡充もうたい、日本は今後3年間に5億ドル(約400億円)のODA拠出をすることも決めた。太平洋・島サミットは、中国包囲網という新たな政治的意味を持ったと言えよう。

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