偏差値30台、40台の学生を最強のIT戦士にする教育(その2)東大、東工大を就職で圧倒する専門学校生。受験で詰め込めなかった学生に詰め込んでこぼさせず社会に出す教育

ITだからこそ学校偏差値に勝てる!

― 社会人としての偏差値、企業の偏差値ってそんな簡単に見定められますか。

「それはこう考えたのです。まずは、人間性とかコミュニケーション能力とか、なんだかわからないハイパーメリトクラシーに属する能力を評価する企業はまず目標としない。たとえ大企業=有名企業でも、学生が就職できた企業であっても、次年度からはそんな企業に学生を送り込まない。あくまでも、学生の専門能力を具体的に評価してくれた企業、実際に専門能力に期待している企業を優先するということです。

『人間性』とか『コミュニケーション能力』というのを期待する企業は、リベラルアーツ病にかかっている『高偏差値大学待望型』の企業なわけです。単に素性の良い学生を欲しがっているだけのこと。こういった企業を出口に想定すると、学校側もカリキュラム開発を促進する動機を失ってしまうわけです。

 そもそも人間性を育てるカリキュラムなんて、宗教団体みたいなものです。コミュニケーション能力を育てるカリキュラムも、『オレオレ詐欺』のコミュニケーション能力には負けてしまう。そもそも、学校の先生というのは、もっとも人間性の怪しい、コミュニケーション能力のない、社会人基礎力もない人種でしょ。そもそもそんなカリキュラム作れるはずがない(笑)。

 IT企業は、まだ業界の歴史が浅い企業群ですから、その点でも学歴差別、学校歴差別の薄い業界です。大企業であっても、専門能力で勝負できる企業がたくさんある。専門性に定位すれば、企業偏差値は付けやすい。開発系-受託系だけでも技術的格差はあるし、それに対応して大学院学生を新卒の半分以上採用している企業も技術志向だといえる。ここに学内の履修判定試験の偏差値順位を割り当てながら、学内の技術試験でどの程度の点数を取らせれば、どの程度の技術志向の企業に入れるのか、実績を踏まえながら年々修正を重ねていく。

 芦澤先生のクラスには上位学年の偏差値と就職内定企業とが張り出されていました。後輩の学生たち、かれらはいつも先輩たちと一緒になってアプリケーションを作り合う学年交流がある訳ですが、先輩学生の顔が、同時に企業の顔に見えてくるわけです。まさにこれ以上ない目標設定です。

 企業は学校関係者が思ってるほどに専門能力に無関心な訳ではない。ただ、『大学や専門学校が高度な専門能力なんて教育できないでしょ』と思ってるわけです。言い換えれば、人間性とかコミュニケーション能力とか社会人基礎力などというものが声高に叫ばれるのは、専門能力育成なんか元々無理なのだから、『せめてこれくらいは』と期待するのが、人間性とかコミュニケーション能力とか社会人基礎力への『ハイパーな』期待なわけです。私はそれを『せめても能力』と呼んできました。逆に言えば、高度な専門能力をもった新卒者を実際に育成すれば、大企業であっても採用の門戸を開き始める。私が芦澤先生と組んで証明したことはそういうことだったわけです」(芦田宏直氏)。

絶対落ちこぼれを作らない授業

―実際の授業の概要はどんな感じですか?
「毎日9時から15時まで授業。その後18時まで補習。授業は一コマ90分。講義が60分。残りの30分は小テストとその解説。毎時限テストをします。それはふるい落とすための試験ではなく、まずは、教員自身が自分の狙ったとおりの履修(理解)がすすんでいるかどうかを確かめるためのテストです。自分の理解度と位置を知るための試験です。授業が終われば必ず小テストだから、習ったことが理解できているか即チェックできる。
補習の中身は、テストの結果によって変えます。習ったことを使ってグループで作品を共同製作させたりします。学生は支え合い、教え合うことからさらにITについて深く学べリーダーシップもついてきます。とにかく毎日その日のうちにやったことを皆全員に完全に理解させ、絶対に一人でも落ちこぼれを作らない。わからないことを家に持ち帰らせません。誰も一日も落ち古ばれないサポートをします」(芦澤昌彦氏)。