経済・財政
二枚舌の幹事長を首相は御しきれるのか。野田・小沢会談をセットした輿石の狙いは「3つのない」


衆院社会保障と税の一体改革特別委員会における審議時間は着実に積み上がり、順調に進めば来月中旬に目安となっている100時間を超える。審議時間だけを見るなら、6月14、15日ごろに消費増税関連法案の採決が可能になるだろう。

逆算すると、今週から来週にかけての2週間が、首相・野田佳彦が決断の下準備をする重要な期間だ。この間に、野田は自民党が求める2009年マニフェスト撤回、消費増税関連法案の大幅修正、衆院解散・総選挙の明示―の「3点セット」にどうこたえ、民主党内の混乱を最小限に抑えられるかについて、腹を固めなければならない。

その初戦が5月30日以降に行われる野田と、元代表・小沢一郎、幹事長・輿石東の3者会談だ。

輿石の狙いは「引き延ばし」

 この会談をセットした輿石は会談を1回で終わらせるのではなく、会談を何度も重ねたい意向だ。これに対し、小沢サイドは「輿石さんが望むなら、2回目以降は会いませんということではない」と受け入れる構えだ。

輿石の狙いは、明らかに引き延ばし作戦だ。野田と小沢の調整に時間をかければ、消費増税法案の採決時期を遅らせ、党の分裂を回避できると読む。これは、小沢にとって必ずしもマイナスではない。野田と自民、公明両党との話し合いによる同法案成立を阻止できるだけでなく、小沢グループの数を確実に減らす衆院解散・総選挙も避けることができる。

採決回避―。この1点において小沢と輿石は利益を共有する。小沢は輿石に全幅の信頼を置いているわけではないが、会談に応じてさえいれば、増税法案反対、離党といった究極の判断をしなくて済むのだから、こんな好条件はない。

もちろん、小沢が会談に応じたからといって、消費増税に「命を賭ける」野田との間で妥協点を見いだせるわけではない。小沢は「現段階での消費増税反対」という旗を降ろす気はまったくなく、周辺も「小沢さんの答えはどこまで行っても一緒だ」と言う。
 

 会談を重ねることによって損をするのは野田だ。

 今週行われる会談は、野田が小沢を説得したという実績をつくるという意味はある。しかし、「平行線」(小沢)になるに決まっている会談を重ねることになれば、野田は自民党との妥協点模索という次の段階に移れず、輿石の時間稼ぎ作戦に利用されるだけだろう。

つまり、野田が1回で終わらせることができるかどうかが勝負どころだ。だが、1回で終わりにすれば、輿石の不興を買うのは確実だ。したがって、野田が輿石を押さえ込めるかどうかの正念場でもある。

野田周辺は「輿石さんは野田総理に『消費増税法案を今国会で成立させる』と約束している」と言う。だが、輿石の本音を民主党幹部はこう読む。

「3N(3つのない)ですよ。衆院を解散しない、党を分裂させない、法案を採決しない」

実際、輿石は26日の記者会見で、解散・総選挙と密接に絡む衆院の定数是正・削減について「そんなに簡単に、わたしが個人で、この難題に、これが輿石私案だと出せる状況ではない」と語り、この問題でも先延ばしを図っている。こんな「二枚舌」を使う輿石を野田が御しきれるだろうか。

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