「アンドロイド開発秘話」に彩られたグーグルとオラクルの著作権裁判がいよいよ大詰めへ

2012年05月26日(土) 小池良次(Ryoji Koike)
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 その予想は、あたった。オラクルの知財弁護士がJavaのライセンスを手に入れたとき、その価値に「目を輝かせた」という話は有名で、以後Java関連の訴訟を恐れ、シリコンバレーではJava離れが始まったとさえ言われている。今回の知財訴訟は、その頂点となるものだ。

 グーグルはAndroid OS開発において「サンマイクロはJavaの利用を暗黙に容認していた」と主張した。証言台に立ったサンマイクロのジョナサン・シュワルツ元CEOも「Androidが普及すれば(将来、その利用者から)多額のライセンス料が入ると考え、グーグルを歓迎した」と述べて、グーグルの主張を裏付けた。

 また、グーグルのエリック・シュミット会長も、サンマイクロはAndroid OSの開発に好意的だったとの証言をおこなっている。

 ちなみに、Android OSもグーグルが初めから開発したわけではない。その歴史は2005年にシリコンバレーの携帯ベンチャー「アンドロイド社」を買収したことに始まる。買収前のAndroid OSは、オープンソースのモバイル・リナックスをベースにしたものだったが、2007年11月にオープンソースとして発表するまでの間に、多くの機能拡張と修正が加えられた。

Android開発で、したたかな交渉を繰り広げるグーグル

 この序盤戦では、グーグルやサンマイクロ、オラクルとの駆け引きが明かされていった。

 たとえば、「Javaのライセンスを受けるべきだ」とする社員の意見でグーグル社内が揺れ動く過程が証言によって明らかになった。また、グーグルがJavaのライセンスを得ようと最高5,000万ドルの予算を組んでサンマイクロと交渉するが「決裂した」話なども飛び出した。

 一方、証人として出廷したオラクルのエリソン会長は、訴訟の5ヵ月前にグーグルのエリック・シュミット会長を自宅に招き、「スマートフォンの共同開発」を持ちかけたことも明らかにした。もちろん、グーグルはオラクルの提案を拒否した。

 こうした話を読み解くと、Android開発当時、グーグルは実に巧みにサンマイクロと交渉していたことが分かる。その中心にいたのが、エリック・シュミット会長だ。

 そもそも、同会長はサンマイクロでCTO(最高技術責任者)にまで上り詰めた人物だ。Javaの開発・普及にも黎明期に深く関わっている。その後、ネットワークソフトのノベル社でCEO(最高経営責任者)を務め、当時まだベンチャーだったグーグルのトップになった。

 また、グーグルのCEOでありながら、アップルの社外重役も務めていた。そのため、iPhoneなどの開発計画についても、十分に知っていたと思われる。これは後にアップルのスティーブ・ジョブス元会長(故人)がAndroid OSに対して激昂したことや、シュミット氏が利益背反を理由に社外重役を辞めたことなどから容易に推察できる。

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