「アンドロイド開発秘話」に彩られたグーグルとオラクルの著作権裁判がいよいよ大詰めへ
小池 良次
グーグルのアンドロイドを搭載したスマートフォン〔PHOTO〕gettyimages

 2012年4月16日からサンフランシスコ連邦地裁(the U.S. District Court of Northern California)で開始された知財侵害裁判が、いよいよ大詰めを迎えている。この裁判は、広く普及しているグーグルの携帯OSアンドロイド(Android)が「ジャバ(Java)の特許やAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)著作権を侵害している」とオラクルが訴えたものだ。

 5月初め、陪審員は「グーグルがJava APIの著作権を侵害した」と決定し、グーグルは劣勢に立たされた。しかし、先週(5月23日)、オラクルの主張する特許侵害部分では、逆に「特許侵害はなかった」と結論した。このように、同裁判は激しい攻防が続いている。6週間にわたって繰り広げられた裁判は、いよいよ来週にも結審となる。

 今回は、同裁判を巡る攻防と、その過程で出てきたAndroid OSを巡る秘話を追ってみたい。

サンマイクロはグーグルを黙認していた

 この裁判の山場は、序盤戦の「グーグルはJavaライセンスの侵害を意図的におこなったか」、中盤戦の「Java APIに著作権(Copyright)があるか」、そして終盤の「グーグルはJava特許(Patent)を侵害したか」という大きく3つに分かれる。

 序盤戦では、グーグルが優位に戦った。

 Javaはコンピュータ業界で広く利用されているアプリケーション開発言語で、その知財は発明者であるサン・マイクロシステムズが所有していた。同社は2010年1月にオラクルに買収され、Javaの権利も移った。今回、オラクルがグーグルを訴えたのは、こうした経緯があるからだ。

 ちなみに、買収当時、サンマイクロのスコット・マクネーリー会長は、自社をIBMに売るべきか、オラクルに売るべきかで悩み抜いた。そして「Javaを生かしてくれるのはIBMだが、サーバー部門が重複し、買収後多く従業員が解雇されるだろう。一方、サーバー部門を持たないオラクルなら従業員の解雇は少ないだろう」と考えて「オラクルを選んだ」と語っている。

 その予想は、あたった。オラクルの知財弁護士がJavaのライセンスを手に入れたとき、その価値に「目を輝かせた」という話は有名で、以後Java関連の訴訟を恐れ、シリコンバレーではJava離れが始まったとさえ言われている。今回の知財訴訟は、その頂点となるものだ。

 グーグルはAndroid OS開発において「サンマイクロはJavaの利用を暗黙に容認していた」と主張した。証言台に立ったサンマイクロのジョナサン・シュワルツ元CEOも「Androidが普及すれば(将来、その利用者から)多額のライセンス料が入ると考え、グーグルを歓迎した」と述べて、グーグルの主張を裏付けた。

 また、グーグルのエリック・シュミット会長も、サンマイクロはAndroid OSの開発に好意的だったとの証言をおこなっている。

 ちなみに、Android OSもグーグルが初めから開発したわけではない。その歴史は2005年にシリコンバレーの携帯ベンチャー「アンドロイド社」を買収したことに始まる。買収前のAndroid OSは、オープンソースのモバイル・リナックスをベースにしたものだったが、2007年11月にオープンソースとして発表するまでの間に、多くの機能拡張と修正が加えられた。

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