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週現スペシャル「生活保護大国」ニッポンの真実
働くより、もらったほうがラクで、トク!?おかしくない?そのカネは国民の血税です

 この国は年金よりもっと矛盾だらけの福祉制度を抱えている。200万人以上の受給者に血税3・7兆円が費やされる生活保護だ。若年層まで生活保護を申請し始め、もうパンクするのは時間の問題だ。

(1)こんなことが許されるの!?
母親が受給 年収5000万円のお笑い芸人「次長課長」河本準一の場合

やむなく出すものなのに

 生活保護とは、「人間として最低限度の生活」ができない国民を国が救済するシステムである。

 言い方を変えれば、「保護してもらわなければ最低限度の暮らしも送れない、下手をしたら死んでしまう」人にだけ適用される、国家としての「最後のセーフティネット」だ。

 戦後間もなく、'50年に制度がスタートした時の受給者は205万人だった(統計は'51年から)。日本の経済成長にともない受給者は減り続け、'95年には88万人となったが、そこから増加に反転。リーマンショック後の急増で昨年7月には'51年を超える過去最高を記録し、その後も増え続けている。

 最新の数字('12年2月)では受給者数は209万7401人で、生活保護費に3兆7000億円以上もの税金が費やされている。

 では、この約210万人は、全員が「生活保護がなければ死んでしまう」人々なのか。答えはノーだ。

「こんなケースがありました。大阪の西成区で生活保護費を受給していた女占い師は、実は神戸市に豪邸を構え、数千万円の預金を持っていたのです。占い師がテレビに出演していたのを市の職員がたまたま見て、おかしいと気付いた。他にも暴力団員の身分を隠して受給するケースなど、不正受給の例は枚挙にいとまがありません」(大阪市職員)

 全国一の「生活保護天国」と呼ばれる大阪市では、実に市民の18人に1人が生活保護を受けている。そのなかには、前述のような不正受給者も相当数含まれているのが実情だ。

 いま、ある人気お笑い芸人にも疑惑の目が向けられている。その芸人とは、週に約10本のレギュラー番組を持つ、次長課長の河本準一(37歳)である。

 発端は女性セブン4月26日号の、『年収5000万円超人気芸人「母に生活保護」仰天の言い分』というレポートだった。

 記事では伏せられていたが、その後ネットメディアで河本の実名が明かされ、さらに5月2日、自民党の片山さつき参院議員が〈河本準一氏の「年収5千万円、母親生活保護不正受給疑惑」について、厚労省の担当課長に調査を依頼しました〉と題するブログをアップしたことで、騒動は政治レベルに発展した。

 この問題に積極的に関わろうとした経緯を、片山議員はこう説明する。

「理由は簡単で、許しがたい行為だからです。誤解のないように言っておくと、河本さんや河本さんの母親を個人攻撃する意図はありません。ただ、公人である河本さんが、週刊誌に報じられ、ネット上でも話題になっているのにお咎めなしでは、国民に対する示しがつかないでしょう。生活保護費がいかに国の財政を圧迫しているか、かねてから問題提起してきた私としては看過できなかった」

 なぜ河本母子の行為が許しがたいのか。その論理は明確だ。

「生活保護は『もらえるならもらっておく』ものではない。もらわないと生きていけない人に、やむなく出すものです。なぜなら生活保護費の原資は100%血税だからです。一般国民が納得できるケース以外に出すべきではない。

 河本さんの場合、年収5000万円はそう外れてはいない数字だと聞いていますが、それが3000万円でも2000万円でも問題は同じです。2000万円の年収のある息子がいて、親子関係も良好なのに、母親が生活保護費をもらっていたら周囲の人は誰も納得しないでしょう」

 生活保護法には「民法に定める扶養義務者の扶養は生活保護に優先する」旨明記されている。生活保護は家族の援助が期待できる場合は受けられない、と法律でも決まっているのだ。

 親子関係が断絶している場合、扶養義務が免除されることもある。だが、河本母子がそうでないことは、他でもない河本自身が公表している。テレビで「パンチパーマのオカン」ネタを得々と語り、『一人二役』という自著では母との思い出を綴った上で、表紙に母親とのツーショット写真まで掲載しているのだ。

「出した市役所が悪い」と反論

 親子仲が良く、息子は数千万円の収入がある。これだけで生活保護を受けられる理由は皆無だろう。さらに河本は『一人二役』でこう書いている。

〈ある大病を克服してからは、(母親は=編集部註)この十年近く通院している。むろん、オカンの大好きな酒とタバコにはドクターストップがかかった。

 俺たち家族、親戚中もこぞって、酒とタバコを止めてくれと、なんべんもなんべんも懇願し続けてきたが(中略)しまいに俺たちは根負けした。「それやったら好きにしい」と諦めるしかなかった。そんなわけで、オカンはいまだ現役でザルといってもいいほどの酒豪を貫いている〉

 河本としては、オカンの「無頼」をウリにしたかったのだろう。だが、生活保護を受給していたとなるとこの部分の読み方はまったく変わってくる。タバコと酒は言うまでもなく嗜好品であり、生命維持に必要不可欠なものではない。

 血税が河本のオカンの酒とタバコに消えているという事実、それを息子が著書でウリにしているという事実を知れば、多くの国民が憤りを覚えるに違いない。

 本誌は今回、河本の岡山市内の実家も取材した。それによって、生活保護問題の「根深さ」を思い知らされることになる。

 取材に応じた河本の姉はこう語ったのだ。

「不正受給と言われるのは家族として心外です。じゃあ、なんで市役所が(受給を)認めたんですか! 不正だったら認められないでしょ!」

---だが、いまの河本さんには母親を扶養できる稼ぎがあるのでは?

「準一は母親を東京に呼ぼうとしたこともあったんです。でも母がイヤだと言うのだから仕方ないでしょ」

---市の福祉事務所から、弟さんの稼ぎについて訊かれたことは?

「私が知る限り、ないと思います。詳しいことは知りませんけど」

---片山議員は徹底的に調査すると言っている。

「いいんじゃないですか、徹底的にやれば。でも、後で謝ることになるんじゃないですか」

---どういう意味?

「言われているような不正はないということです」

 河本の姉いわく、母親が身体を壊した約10年前に生活保護を申請して認められた。その頃は河本も売れない芸人で、母親を扶養する能力がないと市役所に認定された。

 一度認定されたものを継続していただけで、不正ではない、それが河本家の言い分なのである。

 彼らは生活保護を「獲得した権利」だと主張する。自治体から認められた権利をなぜ他人に批判されなければならないのかと怒る。

 このように、生活保護費の受給が「国民の権利」、もっと言えば「オイシイ権利」だと考える人間が増えていることが、現在、日本が直面している「生活保護危機」の根底にある。

 女性セブンの報道によれば、河本は飲み会でよくこう言っていたという。

「(オカンに)役所から『息子さんが力を貸してくれませんか』って連絡があるんだけど、そんなん絶対聞いたらアカン! タダでもらえるんなら、もろうとけばいいんや!」

 片山議員が「個人攻撃ではない」と言った要諦がここにある。この発言が事実なら、こうした発想の蔓延こそがこの国の財政を底なしに蝕んでいくと、片山議員は指摘しているのだ。

 姉だけでなく、河本が所属する吉本興業の認識もきわめて甘く、こんなコメントを発表している。

〈河本の親族が生活保護費の受給を受けているという重大なプライバシー情報が報道されていること自体、重大な人権侵害であると考えており、河本の親族の生活状況や河本の収入の状況、親族への扶養の内容等の詳細な事情についての説明は、ご容赦いただきたい〉

 公人であるにもかかわらず、税金で母親を養ってもらったことに感謝の言葉一つなく、プライバシーを盾に情報開示を拒む。

 感謝より自己主張、義務より権利。河本のこうした振る舞いがさらに反感を呼んでいる。

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