中国
北京を席巻する「打撃三非外国人運動」の恐怖! それでも日本政府はお得意の「傍観」作戦で臨む
〔PHOTO〕gettyimages

 日本人にとって北京の街が、俄かにおっかないことになってきた。5月15日から100日間の「打撃三非外国人運動」なるものが始まったのである。

 「三非」とは、不法入国、不法滞在、不法就労のいわゆる「三つの非合法活動」のことで、これら「三非」の外国人を、徹底的に追放するというキャンペーンが始まったのだ。北京市政府は、「三非外国人」が市内に20万人はいると見て、市内の公安を挙げて、24時間態勢の外国人の捜査・検問に乗り出した。

まるで義和団事件(1900年)の再現

 きっかけは、5月9日の深夜11時頃、宣武門近くの路上で、17歳の少女が、イギリス人男性にレイプされかけたことだった。草むらに引っ張り込まれた少女は、悲痛な叫び声を挙げた。この声に気づいた一人の中国人青年が助けに入り、イギリス人と格闘になり、そのうち人々が集まって、イギリス人は御用となった。

 さらに5月15日午後9時過ぎ、瀋陽から北京へ向かう特急列車の中で、ロシア人が前方の席の頭の位置に両足を凭れかけさせて座った。このため前方の席に座っていた女性が注意したところ、ロシア人が逆切れし、知っている限りの中国語で悪態をついた。この間の4分余りの醜態を、近くの中国人が録画し、ネット上で流したことで、ネチズンたちが非難囂々となった。このロシア人は北京交響楽団の首席チェリストだったことも判明し、北京交響楽団はわざわざ謝罪の会見まで開いて、このロシア人を即刻クビにしたことを発表した。

 また、5月19日には、スペインの『リバー・デルタ』紙が、「中国人はブタである」というタイトルの記事を掲載した。この記事についても、中国人の怒りが爆発した。

 この三つの事件によって、ただならぬ外国人排斥運動が起こり、北京市公安局が「打撃三非外国人運動」に乗り出したというわけだった。中国中央テレビの有名な司会者の楊鋭氏が、自分のミニブログで、「外国のゴミを一掃しよう!」と呼びかけたところ、多くのネチズンが賛意を表明した。いまや北京の一般市民が、64038685番の「打撃三非外国人運動」専用の電話番号に通報すれば、たちどころに警察官が駆けつける事態になっているのである。

 まるで、1900年に起こった義和団事件の再現のようではないか。当時の外国人排斥運動は、逆に8ヵ国連合軍が首都・北京を鎮圧して、わずか2ヵ月で封じ込めてしまった。だが清末と現在とでは、もちろん中国の国情は異なる。いまや外国人は抵抗するすべもなく、ひたすら平身低頭暮らしているという状況なのである。

 日本人にとって幸いなのは、見かけだけでは中国人と区別がつかないことだ。だが街中でひとたび日本語を話せば、「あっ、外人だ!」という周囲のひんやりした視線を浴びることになる。そのため、いまや日本人同士でも、街中では努めて中国語で会話するようになった。日本人の中国語会話能力アップには寄与するかもしれないが、少なからぬ日本人が、唇が腫れ上がるほど苦しんでいる。

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