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ヨーロッパ発「世界恐慌」の可能性を読みきる 世界同時「株安」これから起きること
ヨーロッパの混迷が火種となって、世界同時株安が発生。NYダウや日経平均が数ヵ月ぶりの安値に落ちた〔PHOTO〕gettyimages

 欧州の財政問題は根が深い。長時間かけての治療が必要なのに、途中で疲れた政府と国民が逃げ出し始めた。投機筋は見逃さず、世界同時株安を演出する。恐慌で大儲けする奴らが、再び動き始めた。

巨大銀行が破綻

 2008年に世界を襲った大恐慌は、たった一つの金融機関、リーマン・ブラザーズの破綻が引き起こしたことは記憶に新しい。昨年は欧州で金融危機が勃発すると、フランス・ベルギー系大手銀行のデクシア、米証券大手のMFグローバルが立て続けに〝破綻〟し、「第2のリーマン・ショックが幕を開ける」と世界中が震え上がった。

 一時は沈静ムードになった金融不安だが、いま再びその猛威が牙をむき始めた。マーケットに兆候が出ており、値が大きいほど企業の・倒産危険度・が高いとされるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の値を見ると、金融機関のそれが急上昇しているのだ。BNPパリバ証券投資調査本部長の中空麻奈氏が言う。

「ドイツ銀行、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)などの欧州主要金融機関が同じように上昇カーブを描いており、まるで金融危機の様相を呈している。中でも高いのがスペインのサンタンデール銀行やイタリアのウニクレディトといった金融機関。いずれも巨大金融機関だから、このうちひとつでもデフォルト(債務不履行)すれば、リーマン・ショック級のインパクトになることは間違いない」

 時を同じくして、米国発で・金融ショック・のニュースが駆け巡った。世界でもっとも信頼できるといわれていたJPモルガン・チェースが、トレードの失敗で約20億ドル(約1600億円)という巨額損失(評価損)を出したことが明らかになったのだ。

「このトレーダーは欧州危機が収まると儲かるほうに〝ベット(賭け)〟をしていたが、これが裏目に出て大負けをくらったといわれる。事実なら、プロ中のプロでさえ、欧州危機の実態を読めなかったことになる。これほどまでの額はないにしても、ほかにも〝欧州復活〟の側に投資していた米系金融機関が出てくる可能性は否定できない」(投資コンサルタント)

 いまウォール街では、年間に数十億円という巨額報酬を得ていた著名トレーダーたちが続々と会社を去っているという。金融規制によって大手金融機関ではビッグ・ディール(高額取引)ができないからというのが主な理由だが、一部では「自分の会社が危ないと思って、〝勝ち逃げ〟しようとしているのでは」といった声も聞こえてくる。

「JPモルガンの巨額損失問題の影響が本格的に出てくるのはこれからだ。米国はこれをきっかけに金融規制をさらに強化する方向に進むから、金融機関にとってはリスクを取って収益を得る機会が減ってしまう。結果、貸し渋りが横行し、景気を一気に冷え込ませる恐れが出てきた」(みずほ総研シニアエコノミストの山本康雄氏)

 いま再びの「金融危機→世界恐慌」の悪夢が眼前に迫ってきたのだ。

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