露・仏で新内閣が発足。ワイノ首相府官房長官とギデ内閣外交顧問、2人の「日本通」が対日外交の鍵を握る
クレムリンに入るプーチン大統領〔PHOTO〕gettyimages

 クレムリン(大統領府)の主に返り咲いたウラジーミル・プーチン大統領は5月21日、ドミトリー・メドベージェフ前大統領を首相とする新内閣の組閣名簿を承認、プーチン政権が発足した。プーチン大統領が任期2期12年間の長期政権「大ロシア復活」を企図しているのは明らかである。

 一方、フランスでは同15日に大統領就任式に臨んだフランソワ・オランド前社会党第1書記は翌日、新内閣名簿とエリゼ宮(大統領府)主要スタッフを発表した。新閣僚18人のうち女姓が9人、閣外相も16人中、8人が女性という陣容である。

鈴木宗男元議員とも旧知の仲

 先ずは、ロシアのプーチン政権。我が国のメディアは全く報じていないが、注目すべき22日付大統領府人事があった。プーチンが首相時代の昨年末、首相府官房長官に抜擢されたアントン・ワイノ(これまで「バイノ」と記述したが、原語発音に近い「ワイノ」に変更)が大統領府副長官としてクレムリン入りしたのだ。

 手前味噌で恐縮だが、筆者は本コラム(3月3日付)で、日露両国にとって懸案である北方領土問題のロシア側キーマンとして「日本通」のワイノがプーチン政権誕生によって大統領補佐官(外交担当)か、大統領府副長官のいずれかに就任する可能性が高いと書いた。

 アントン・ワイノ、1972年2月17日生まれの40歳。バルト3国エストニア系として初めてロシア政府高官となったワイノは、1996年にモスクワ国際関係大学(日本語専攻)卒業後、外務省に入省。第2アジア課に所属、東京、ソウル勤務を経験後、2002年に大統領府儀典課に転出、そこで転機が訪れる。

 06年7月にサンクトペテルブルグで開催されたG8サミットでの儀礼式典・各国首脳との会談で汗をかき、当時のプーチン大統領に見出された。翌年、大統領府儀典第1課長に抜擢され、さらにプーチンが首相に転じた08年4月に首相府儀典長官、11年12月27日に同官房長官に就任した。

 プーチンの知られざる側近であり、「北方4島先行返還論」の理解者とされるワイノは、先にモスクワを訪れた民主党の前原誠司政調会長とも会っているのだ。早ければ6月初旬にも首相特使として訪露が予定される森喜朗元首相とプーチン大統領との会談で北方領土問題の進展が期待されるのは、他ならぬワイノ副長官の存在があるからだ。因みに鈴木宗男元衆院議員(新党大地・真民主代表)は、同副長官とは長い知己である。

 プーチン新政権の特色は、①各省庁の次官級テクノクラートを登用 ②経済・金融・エネルギー政策の実務官僚の登用 ③プーチンに近い永年の知己の重用 ---の3つ。

 例を挙げると、①はノワクエネルギー相(前財務次官)とマントゥロフ産業貿易相(前同次官)、②が米国留学経験があるドボルコビッチ経済担当副首相(前大統領補佐官)。そして③はエリビラ・ナビウリナ前経済発展相の大統領補佐官起用と、留任したロゴジン軍需産業担当副首相とセルジュコフ国防相の2人である。両氏は「オルガルヒ」(新興財閥)と「シロビキ」(旧KGBなど治安機関出身者)に通じるプーチン人脈。

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